フィギュアスケート愛(eye)とは……本誌『家庭画報』の「フィギュアスケート」特集を担当する、フリー編集者・ライターの小松庸子さんが独自の視点で取材の舞台裏や選手のトピックスなどを綴ります。
来シーズンの国際大会への日本選手出場枠は、
男女ともに最大の3枠を確保!
羽生結弦選手のオリンピック2連覇、宇野昌磨選手の銀メダル獲得と、日本のフィギュアスケート界において歴史的な大会となった2月の平昌五輪。
あれから約ひと月後の3月19日~25日(日本時間)、イタリア・ミラノにて世界フィギュアスケート選手権2018(以下ワールド)が行われました。
オリンピックイヤーは、どうしても4年に1度の祭典に向けて心身のピーキングを合わせてくる選手が多いので、そのあとに開催される世界選手権は荒れがちだといわれますが、やはり今回も数々のドラマが見られました。
その中から、何度でも繰り返し見たくなる、魂を揺さぶる演技を4プログラム選んでみました。
カロリーナ・コストナー選手(イタリア)。溜め息が出るほど美しい演技に、会場中が酔いしれました。写真/エンリコ/アフロスポーツ1、カロリーナ・コストナー選手(イタリア)
SP「Ne Me Quitte Pas~行かないで」80.27点1位(FS128.61点5位、トータル208.88点4位)
カロリーナ・コストナー選手の情感溢れる演技にはいつも心を震わされますが、今回のSP(ショートプログラム)での神々しさは際立っていました。
母国イタリアでの開催であること、そして、最後の世界選手権出場かもしれないことも後押ししたのかもしれません。
3回転フリップ-3回転トウループ、3回転ループ、ダブルアクセルのジャンプはすべて成功。長い手足をいかして優雅に舞う姿はまさに、“フィギュアスケート界のミューズ”。
演技後も拍手がしばらく鳴り止まない会場には、素晴らしい演技の余韻に包まれた幸せな空気が満ちていました。
PB(パーソナルベスト)でもある80.27点は、SP世界歴代3位の高得点。
FS(フリースケーティング)で少しミスが出てしまい、総合4位となってしまったのは残念でしたが、ジャンプやステップ、スピンの確かな技術はもちろんのこと、そのすべてが美しく、フィギュアスケートの芸術性を堪能させてくれたSPの演技でした。
演技後、「自分のスケート人生の旅はとても素晴らしいものだったと感じています」と語ったカロリーナに涙。31歳まで現役で素晴らしいスケーティングを見せてくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。