さて今回は「ジュエリーの価値とは何か、価値あるジュエリーとは何か」について書いてみます。かなり複雑な話になりますので、2回に分けます。(これまでの
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この主題は近年いろいろなところで話題になっていますね。日本も買うよりも買ったものを売るという時代、さらには富裕層の皆さんが資産の一部を宝石に投資する時代になってきたことが背景にあります。
ところで「価値」とはそもそも何でしょう?
さて宝石の価値について話をする前に、まず「価値」という言葉について考えてみましょう。実はこの価値という言葉には、2つの意味が含まれています。
一つは言うまでもなく、買った物を使って得られる【使用価値】です。ジュエリーの場合には、自分が美しくなる、人から褒められる、人からよく見られるなど、いろいろあります。
もう一つの意味は、それを交換に出した時の価値、つまり要らなくなったジュエリーを売ろうとした時の【交換価値】とでもいいますか。こんなややこしい話を持ち出したのは私ではなく、なんと経済学の始祖であるアダム・スミス。彼の主著である『諸国民の富』(または『国富論』)といわれる本に出てきます。