クロオオアリと共生するクロシジミ。消えてゆく生きものの種類をあげるときりがないけれど、私の愛すべき生きものたちは、このようにのきなみ希少種になって、知らない間に生命の連鎖を奪われているのである。 農地が健全でないと、私たちが住む家の庭に、蝶も鳥も飛んできてくれない。
環境農家は、生きもののコアゾーンづくりとしての意味があると思っている。
6月の農地づくり
草刈りは農地の観察に、もってこいの作業
初夏からは、草刈りがたいへんな季節。竹を駆逐したと思っていたところから勢いよく新芽が吹き出してくる。これをまめに刈り取らねばならない。ただ、草刈りは辛いだけの労働かというとそうではない。
地上に神経を集中しているので、知らず知らずのうちに足元の観察をおこなっている。カヤネズミの巣を発見したり、
湿地に隠れていたクサガメが顔を出したり、けっこう楽しい。農家の西村さんが「夏に活躍するのは、草刈り機と軽トラだけや」とよく言っていたけれど、私も同感である。
やや乾燥したエリアにススキが密生していて、そこで、カヤネズミの巣をみつけた。いくつもあったので、彼らにとって環境がよいのだろう。鳥の巣。背丈の低いアラカシにあったので、モズかもしれない。草むらから出てきたトノサマガエル。両生類は、できるだけ多くの種類が棲めるように、努力して環境づくりをしてゆきたい。(次回は7月3日更新予定です。お楽しみに。)
今森光彦
1954年滋賀県生まれ。写真家。 切り絵作家。
第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞などを受賞。著書に『今森光彦の心地いい里山暮らし12か月』(世界文化社)、『今森光彦ペーパーカットアート おとなの切り紙』(山と溪谷社)ほか。
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