視線を上げれば、フジ棚の紫フジ、庭木仕立ての白フジ、そしてボール状に白花を咲かせるオオデマリ。足元には初夏の草花が華やかに咲き誇る。草丈の異なる花をバランスよく加えた変化に富んだボーダーガーデンは見ていて飽きることがない。「スマイルガーデン」にはいま注目の花が溢れ咲く
英国園芸研究家の吉谷桂子さんはガーデンだけでなく、ご自身のファッションブラントを展開するほど、そのセンスのよさに定評があります。
しかもいつも世界に目を向け、今後のガーデニングがどの方向に向くかをキャッチし、それをご自身の庭づくりにすぐに生かしていく点において、ほかにはない才能をお持ちだと感じます。
「これは絶対に大丈夫」というお気に入りの草花に加え、種苗会社のカタログで見たばかりの新登場の花もたくさん使われます。
安定感と大胆さ、そのバランスのよいミックス具合が、吉谷さんがプロデュースする庭の何よりの魅力でしょう。
「スマイルガーデン」もしかり。150mのボーダーの両側には、よく知る花もあれば、庭で咲いているのを初めて見る新鮮な花もあり、レイアウトの美しさ、色彩バランスの美しさにいつも感心します。
ラナンキュラスの新品種、人気の‘ラックス’のこのボリューム感は、ほかではなかなか見られない。プラスチックのようなぴかぴかの花びらの質感が新鮮!今年の春は、切り花でも大人気となっている新しいラナンキュラス‘ラックス’が大きな株に成長し、たくさんの花を咲かせていました。
‘ラックス’は、まるでプラスチックのようなつやのある質感の花びらをもつ品種。
まだデビューしてからそれほど年数が経っているわけではないので、ここまで大きな株に成長しているということは、デビューしてすぐに植栽に加えたということ。
そろそろ花期も終わりですが、咲き残っている花を探して、その個性的な質感をぜひ目にしてみてください。
ほかにもペンステモンの‘ハスカーレッド’やジギタリスの‘イルミネーション’なども人気の出る前からこのボーダーガーデンで咲いているのを見つけて嬉しくなってしまいました。
「スマイルガーデン」では、全体のバランスのよい美しさだけでなく、その植栽をどんな植物が構成しているかにもぜひ注目してみてください。
紫の長い花穂が垂れるフジ棚の下を歩くと、甘い香りが漂い、とても気持ちがよい。庭の中で美しいフジを生かす仕立てがいっぱい!
「はままつフラワーパーク」の理事長・塚本こなみさんは、女性で初めて樹木医の資格をとった方です。「あしかがフラワーパーク」では、枝の広がりが300畳分にも及ぶ大フジの移植を成功させ、世界的にも有名なガーデンに発展させました。
その塚本さんがこよなく愛するフジが「はままつフラワーパーク」でも咲き誇ります。
150mにも及ぶフジ棚の下を歩くと、甘い香りが鼻先をくすぐり、幸せな気分になってきます。また、庭木仕立てのフジもあり、そのナチュラルな樹形の美しさもまた魅力的。
清潔感のある白フジの繊細な美しさに惚れ惚れ。華やかな色彩溢れるこの時期の庭で、ひときわ目を引く美しい白。イギリスでもフジは人気の花木ですが、基本的に庭木は自然樹形を生かすため、あまり剪定はしません。
そのためイギリスのフジは品種の違いもありますが、日本のフジのように密に咲かず、また花穂も短めです。あるイギリス人園芸家に聞いたことがあるのですが、「フジの剪定にかけては日本人は世界一」なのだそうです。
なかでも最高レベルの技術をお持ちの塚本さん。「はままつフラワーパーク」のフジは、塚本さんの愛情と優れた技術で、これほどまで美しく咲くのだと納得です。
さて、フジの花が終わると、今度はバラの旬に入り、「はままつフラワーパーク」はまた一段と華やかな季節を迎えます。時期をずらして何度も訪ねたくなるガーデン、ぜひお出かけください。
5月の中旬からはバラが咲き始めて、鮮やかな彩りに包まれる。つるバラの大きなアーチがとてもエレガント。