7代目が受け継ぐ伝統
小堀さんは東京の大学を卒業後、広島の会社に勤務しました。
「のちに京都に戻り、家業を引き継ぎました。そのときに読んだのが大村しげさんの本です。焼いたお餅をご飯の上にのせて食べるお茶づけのおいしさを綴った随筆が、とても印象に残っています」と小堀さん。代々続く京都の家業を受け継ぐにあたり、地元京都の習慣や食文化を学ぶ手引きに、大村さんの著書は最適だったに違いありません。
小堀さんにうかがった豆知識をご紹介しましょう。写真はお店の表側。お店は蛤御門の変で延焼した歴史があります。しかし土台は石造りだったため、そのまま焼け残り、火事の痕跡をいまだとどめています。最後に小堀さんに、お仕事で大切にしていることをうかがいました。すると「手で作る職人の仕事。いただいたご注文分だけを作る、昔と同じやり方」とのお返事が。いまも麩嘉の生麩は手作りされています。作り置きをせず予約分だけを作る麩嘉のスタイルは無駄をなくす京都の昔ながらの知恵でもあるのです。
Information
麩嘉 (ふうか)
京都府京都市上京区西洞院椹木町上る東裏辻町413
川田剛史/Tsuyoshi Kawata
フリーライター
京都生まれ、京都育ち。ファッション誌編集部勤務を経てフリーライターとなり、主にファッション、ライフスタイル分野で執筆を行なう。近年は自身の故郷の文化、習慣を調べるなか、大村しげさんの記述にある名店・名所の現状調査、当時の関係者への聞き取りを始める。2年超の調査を経て、2018年2月に大村しげさんの功績の再評価を目的にしたホームページをスタートした。
http://oomurashige.com/ 取材・文/川田剛史 撮影/中村光明(トライアウト)