岡山県には個人チーズ工房の先駆けである吉田牧場をはじめ、小さなチーズ工房が点在しています。最北端の蒜山(ひるぜん)高原はジャージー牛が多数飼育され、フレッシュミルクの宝庫。この環境を求めて移住し20頭の山羊や羊を育てながらチーズ作りをするのが「イル リコッターロ」の竹内雄一郎さんです。
森を通って高原の牧草地へと山羊や羊を誘導する竹内雄一郎さん。チーズ作りに携わりながらも味が好きになれなかった竹内さんは、神楽坂のチーズ専門店「アルパージュ」でイタリアの羊のチーズに出会います。そのおいしさに衝撃を受け、シチリアにわたり修業。現地で出会ったのが「リコッタ フレスカ」です。
「リコッタ フレスカ」(通年生産の牛乳製810円、5月~10月生産の混合乳製1296円、地方発送可、送料別。ご注文は電話かホームページで)。リコッタは「再び煮る」、フレスカは「フレッシュ」の意で、ホエーに塩と乳を入れて温め、熱凝固した上澄みをすくい、水分をきって固めます。
竹内さんはシチリア伝統の製法を踏襲し添加物を入れず、自然の力で仕上げるので研ぎ澄まされた感覚勝負。とりわけざるに移す工程は食感の決め手。柔らかい組織を壊さぬよう重ねる繊細な作業から、デリケートな食感が生まれます。ミルキーかつジューシーでしっかり塩味の利いた味わいが魅力です。
鍋底が焦げないように混ぜ続ける。そっとざるに移す緊張の瞬間。