「いい値段で売れるジュエリー」は、普通の人にはなかなか買えないもの
さてここまで書いてきますと、「そんなジュエリーなら数百万円、数千万円もするでしょ、私に関係ないわ」という声が聞こえてきます。
そのとおり、ですから最初にいったでしょ。
ジュエリーの世界で、売りたいと思った時に安定的に売れる、場合によっては買値よりも高く売れるかも知れない商品は、上記の条件に合うもの以外にはありません。
それも市場の条件とかタイミングとか、色々あって、必ずしもうまくいくとは限らないのです。
ですから、良いと思った値段で売れたとか、稀に売買差益が出たなどというのは、あくまでも結果であって、それを目的にしても成功するとは限らないということです。
普通の人が、「売ること」を前提にジュエリーを買うのは間違い
世の中には、この商品は必ず値上がりしますとか、近々なくなりますなどと言い張る宝石商がいますが、そういう人間はすべて嘘つきです。その言葉を聞いたら、すぐに逃げましょう。
前回も述べましたが、最後に繰り返します。
ジュエリーの価値とは、
使って楽しむことにあって、素人が売買して利益を生むなどいうことは絶対にありません。
ですから、使わないジュエリーは買うことはないのです。良いジュエリーなら、必ず使いたくなります。使う気にならないジュエリーをお持ちなら、それは間違って買ったあなたが悪いのですよ、反省の要があります。
次回、いよいよ最終回です!
次回は最終回となります。実際に街に出て、ジュエリーを買おうと思っていらっしゃるあなた、どう振る舞えば良いジュエリーを、使いたくなるジュエリーを買えるのか、という甚だ実戦的な話を最後にしたいと思います。
山口 遼/Ryo Yamaguchi
宝石・宝飾史研究家
大学卒業後ミキモトに入社。退社後はアンティーク・ジュエリーの研究と販売に従事。真珠および宝飾品史の専門家として、新聞や雑誌に数多く寄稿。ジュエリーに関する著書多数。
写真/すべてPIXTA