なにげない日常に、ある日やってきた猫が人生を変えた―。猫と暮らす、あるいは暮らした5人の愛猫家の皆さまに傍らに猫のいる心豊かな日々を語っていただきました。
第3回目は、落語家・林家たい平さんと愛猫のマネのお話です。(前回の
猫のいる愛しき人生! 第2回(作家・谷村志穂さん)はこちらから。)
動物好きの林家たい平さんですが、猫とのつきあいは遅く、千華夫人が結婚前から飼っていた猫が最初です。名はホームズ。おっとりとした大きな黒猫でした。
そのホームズが亡くなり、喪失感に暮れていたとき、近所の路地で子猫が3匹生まれたというので見に行くと、黒猫がいたのです。「ホームズの再来だ」。
1匹ではかわいそうだからとグレー・白の子も引き取り、温かい響きの名前をと、マネとミレーと名づけました。
マネ(雄/16歳)
1匹になっておしゃべりになった。いつも何かを話しかけているから、その気持ちを推し量るようになった。2匹とも雄でしたが、性格は正反対。マネは野性味があって外が大好き。ミレーはおっとりしていて人の膝の上が好きな子。2匹は仲がよく、いつも一緒に寝ていました。
そのミレーが一2歳で突然亡くなったのです。1匹になり、マネは急に“おしゃべり”になりました。
「何を訴えているのか、わかり合おうとマネの心を思います。それは人間関係でも同じで、相手の心に寄り添うことを猫が教えてくれました」。
「間合い」の妙も猫から教えてもらったことです。猫は空気を読むので、人を慮る間の取り方が絶妙だというのです。その「間合い」が今日もたい平さんの落語に生きています。
林家たい平(はやしや たいへい)
1964年、埼玉県生まれ。武蔵野美術大学卒業。専攻は視覚伝達デザイン。現在、同大学客員教授。『笑点』などテレビやラジオ、全国での落語会に出演。CD、DVD、著書多数。公益財団法人日本動物愛護協会理事。
撮影/本誌・西山 航(人物) 取材・文/松田純子
「家庭画報」2018年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。