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創業480年の茶屋で、祇園さんとともに愛される田楽豆腐

2018.05.11

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随筆家 大村しげの記憶を辿って 私だけの京都へ
第8回「二軒茶屋 中村楼」店主 辻 雅光さん

かつて、京都の「おばんざい」を全国に広めたお一人、随筆家の大村しげさんをご存じでしょうか。彼女の生誕100年となる今年、大村しげさんの書き残された足跡を訪ねて、生粋の京女が認めた京都の名店や名所をご紹介します。

二軒茶屋 中村楼

京都を旅するにあたり、京都ならではの場所や味に出会うために、私たちはなにを拠り所とすればよいのでしょうか。京都の情報を多数書き残した、随筆家・大村しげさんの記憶は、まさに京都を深く知るための確かな道しるべ。今回も彼女の愛した名店を辿ります。


大村しげ大村しげ
1918年、京都の仕出し屋の娘として生まれる。1950年前後から文筆をはじめ、1964年に秋山十三子さん、平山千鶴さんとともに朝日新聞京都版にて京都の家庭料理や歳時記を紹介する連載「おばんざい」を開始。これをきっかけに、おばんざいが知れ渡り、大村しげさんも広く知られるようになる。以来、雑誌や著書で料理、歴史、工芸など、幅広く京都の文化について、独特の京ことばで書き残した。1990年代に車いす生活となったのを機にバリ島へ移住。1999年、バリ島で逝去。(写真提供/鈴木靖峯さん)

1軒だけなのに二軒茶屋。名前の由来は?


「祇園さん」と親しまれる八坂神社の南楼門に、創業から約480年続く二軒茶屋があります。名前の由来は向かい合わせに水茶屋が2軒あったからと聞きますが、うち1軒ははるか昔になくなり、いまは東側の二軒茶屋だけになってしまいました。

二軒茶屋 中村楼南楼門の前にあった2軒の水茶屋のひとつが、現在の二軒茶屋(写真右手)。向かい側にあったもう1軒の店はすでになく、井戸だけが名残をとどめていると言います。

二軒茶屋 中村楼二軒茶屋の店内にも、かつて使われていた井戸が残されています。

二軒茶屋の名物として大村しげさんが書き残したのが田楽豆腐です。木の芽味噌を塗った木綿豆腐を松葉串に刺して炭火で焼く。焼いた豆腐は昔ながらの塗りの箱に収めて、お客様の前へ。

二軒茶屋 中村楼二軒茶屋の名物、田楽豆腐。750円(税込み)。

二軒茶屋 中村楼現在、蔵の中にあるカフェでは、田楽豆腐をはじめ、甘味、鯛茶漬けや鯛うどんなどの軽食が味わえます。

二軒茶屋 中村楼カフェには、黒塗りの田楽箱がたくさんディスプレイしてあります。
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