腫瘍マーカーの数値とがんの可能性は結びつかない
一方で病気と直結しない数値も多くあり、私たちが最も翻弄されがちなのが、検診目的で受ける腫瘍マーカー(がんが特異的に産生する物質。血液検査で測定可能)だといえます。前立腺がんは例外とされていますが、ほとんどの早期がんで腫瘍マーカー値が上がることはありません。
「数値と病気の本態がかけ離れているのです。腫瘍マーカーの値が高いという報告を受けたとしても、多くの場合それだけでがんが体の中に存在する可能性が高いとはいえません。逆に数値が基準値以内ならがんがないとも全くいえません。油断してがん検診を受けなくなる弊害のほうが心配です」
とはいえ、腫瘍マーカーの値が高いとなれば多少の不安は残るもの。定期的な検査を受けることをすすめられ、身体的負担や拘束時間が増えるリスクも大いにあります。
人間ドックなどで腫瘍マーカーのオプションがあったときには、メリット・デメリットを考えて必要性を判断するのがよいでしょう。