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前回まで)理想の里山を求めて農家になる決意をした今森さん。生きものの住処(すみか) としての土地を甦らせるため、開墾作業を続けます。
今森光彦 環境農家への道
第11回 涙をのんで伐採した木々のこと
(写真・文・切り絵/今森光彦)
湿気をたっぷり含んだ風が、窓際をとおりぬける。雲の切れ間から、ときおり差し込む光は、透き通るように明るく、梅雨明けを予感させる。
アトリエの部屋から眺める庭。夏は、心地よい緑に包まれる。こんなころ、緑に包まれたアトリエの部屋は、ほんのりと薄暗い。この、ひっそりと森の中に潜んでいる感覚がとても好きで、部屋の中でずっと過ごしたくなる。
竹林の中に生えていた木々は、ヤマザクラやエノキなどの広葉樹だけではなくスギやヒノキもたくさんあった。
これらの針葉樹は、どれも、人が植えたものではなく、“ひとり生ばえ”といって、種子がこぼれて芽生え、自力で生長したものだ。竹林にもまれていたせいか、幹がねじれていたりして、逞しく育っているものが多い。
私は、それらの木々を涙をのんで伐採することにした。
アフリカンチューリップツリーにとまるヨウムの作品が出来上がった。アフリカの灼熱のイメージを醸し出すために、大柄で色鮮やかな花木を取り合わせたかった。一抱えもある切り絵作品を、アトリエの木立の中へもちだし、イーゼルに立てて撮影。背後の大きな木は、夏葉を茂らせるエノキ。切り絵のサイズ108×78㌢。【こちらもおすすめ】
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