素晴らしい歌声で、エヴァ役を射止めたエマ・キングストンさん。貧しく不遇な境遇からアルゼンチン大統領夫人まで上り詰めた実在の女性、エヴァ・ペロン。“エビータ”の愛称で知られる彼女の激しくドラマティックな生涯を題材に、現代ミュージカル界の巨匠トリオが生み出した傑作ミュージカルが、オリジナル演出版で初来日を果たします。そのエヴァ役に、巨匠トリオによって抜擢された新星、エマ・キングストンさんを直撃!
――エマさんは、ロンドンでのオーディションでエヴァ役に抜擢されたそうですね。
「はい。知らせを聞いたときは大興奮しました。私の母がアルゼンチン人で、『エビータ』はまさに私の家族の物語の一部。ずっとやりたいと思っていた役なので。実は私、別の仕事と重なって、オーディションには行けなかったんです。でも、エージェントやキャスティングディレクターから、自分で録音した歌を送るようにと言われて、『Don’t Cry for Me Argentina (アルゼンチンよ、泣かないで)』と『Buenos Aires (ブエノスアイレス)』の2曲を送ったら、2週間後に“アンドリュー・ロイド=ウェバー(音楽)とティム・ライス(脚本)とハロルド・プリンス(演出)が、君にエビータをやって欲しいと言っている”という連絡をいただいて。だから余計にびっくりしました」
――エマさんと『エビータ』との出会いはどんなものだったのでしょう?
「家には『エビータ』のビデオやエヴァに関する本もありましたけれども、最初の出会いは、5歳のときに家族で観に行った映画の『エビータ』(監督/アラン・パーカー 主演/マドンナ、アントニオ・バンデラス 日本での公開は1997年)だと思います。私がミュージカルが大好きなことを知っていた親が、連れて行ってくれました。子供ながらに魅了されて、その後、母がアルゼンチンの歴史の本も買ってくれました。エレナ・ロジャーが主演していたミュージカルのロンドン公演を生で観たのは、2006年です。いつか絶対にこの役を演じたい!と心底思いました」
――その抜群の歌唱力は、どうやって体得したものですか?
「クラシックの声楽を11歳から習っていたので、歌の基礎や技術的なことは、そこでしっかり身につけられたと思います。18歳で大学に進んでからは演劇を専攻して、1日12~14時間くらい勉強しました。そういったこれまでの積み重ねだと思います。もちろん日々健康には気をつけていますし、1回1回の公演を新たな体験としてお客様にお届けできるよう、コーヒーやお酒、パーティもなるべく避けるようにしています」
たくましくしなやかに生き抜くエヴァをパワフルに演じるエマさん。素顔は明るくチャーミングでフレンドリー。