“病気らしいもの”への対処法のケーススタディー
ケース(1)
頭痛で受診し、念のために MRI検査を受けたら隠れ脳梗塞だといわれた
2週間前から頭痛が続いているA子さん(65歳)。市販の頭痛薬を飲んでも治まらず、脳の病気ではないかと心配して総合病院を受診しました。診察では頭痛の原因がわからず、医師が「念のために脳のMRI検査を行ってみましょう」というので、大ごとになってしまったな、と思いながら検査を受けました。
結果を見た医師が「ごく小さな梗塞があります。隠れ脳梗塞ですね」というではありませんか。Aさんは頭痛の原因は脳梗塞だったのかとショックを受け、目の前が真っ暗になってしまいました。
【患者の心得】
症状と検査結果は無関係のことも。 早とちりで心配しすぎないおそらくA子さんの早とちりだと思われます。通常、頭痛の原因が脳に存在することはありません。医師は「頭痛の原因らしきものは見つかりませんでしたが……」と前置きをしたうえで隠れ脳梗塞の話をしたのではないかと思います。
ほかにも「腹痛で受診して超音波検査を受けたら胃にポリープが見つかった」など症状とは無関係の検査結果を告げられることは多々あります。両者を結びつけてしまうと余計な心配をすることに。「私の症状とその検査結果は関係がありますか」と尋ね、困っている症状を何とかしてほしいと訴えるのが賢明です。
ケース(2)
胃にポリープが見つかり、 がん化するのでは、と心配。切除したほうがよいだろうか
健康診断で胃の内視鏡検査を受けたところ、ポリープが見つかったと告げられたB子さん(53歳)。症状は何もなく、知人も「ポリープくらいで気にすることなんかないわよ」というのですが、念のためにインターネットで調べてみました。
すると「胃のポリープは自然に消えることが多い」と書いてある一方で、「前がん病変のこともある」「まれにがん化する」などと恐ろしい表現もあり、心配性のB子さんはいつか胃がんになるのではないか、そうなる前に早めに切除したほうがいいのだろうか、と不安でしかたがありません。
【患者の心得】
3段階の中で、どの程度心配なポリープか具体的に確かめる症状のないポリープは、ほとんどが気にしなくても大丈夫なのですが、大腸や膵臓など部位や状況によっては注意が必要な場合もあります。
医師に次の3段階でどの程度心配なのかを確かめましょう。(1)放っておいて問題のないホクロのようなもの。(2)定期的に検査をして経過を見たほうがよいもの(その場合どれくらいのスパンで検査が必要なのかも聞いておく。(3)ひょっとしたらがんのような重要な病気かもしれないのでさらなる検査をしたほうがよいもの。
ネットの情報に振り回されず、自分の状態を主治医に直接聞くことが重要です。
ケース(3)
手術は早く受けたほうがいい?
眼科で白内障の手術をすすめられたC子さん(60歳)。日常生活に支障もなく急ぐ必要もないのでは、と対応に迷っています。
【患者の心得】
待てる病気と待てない病気がある白内障は“待てる病気”なので数年先に延ばしても平気な場合がほとんどです。ただ、自覚症状と関係なく早めに手術をしたほうがよい病気もあり、患者さんには判断ができません。たとえば椎間板ヘルニアの手術を1年延ばすと、相当悪化してしまうこともあり、どれくらい急ぐ手術なのかを確かめることが大事です。