LESSON34
思い出の品を今の暮らしの中で楽しむモダン額装
手放すことができない大切なものだけれど、なかなか活用するのは難しいという思い出の品、どなたでもいくつかお持ちなのではないでしょうか。
インテリアスタイリストの横瀬多美保さんは、お祖母さまの形見のきものや茶道具を額装して飾ることで、今の暮らしの中でインテリアデコレーションとして楽しんでいます。
モダンに額装した帯をアートのように飾って。秋のナナカマドなど、季節の花木をひと枝添えるだけで、室内に風情ある景色が生まれる。夏場は、竹をモチーフにした涼やかな印象のKOKIN氏のモダンアートを間に入れて、3点で飾っている。Tips1
布ものを額装してアートのように飾る
横瀬多美保さんのリビングルームの壁には、絵画を掛けるためのピクチャーレールが備え付けられています。
そこにはいつも、和の趣漂う2つの額が掛けられています。
「これは、祖母の形見の帯を額装したものです。祖母は茶道を嗜み、日本や中国の文化芸術を愛した人でした。帯やきものを形見としてもらったのですが、私自身が実際に身につける機会はありませんでした。そこで、額装していつでも目に触れる場所に飾りたいなと考えたんです」
額装は、丁寧に考えてもらえる額装専門店に依頼して、自分が描く仕上がりのイメージや飾る場所の環境などを伝えながら作ってもらうことが肝心。
この額装もじっくりと相談しながら、いぶし銀色のフレームと、光沢のある柔らかな白い布のマットを選びました。
帯を張ったパネルの周りを細い木製の枠で囲むことで、織りの印象をくっきりさせています。
銀や黄色が織り込まれ、角度によって植物柄が浮き上がる繊細な古い帯地は、額装によってアートととして生まれ変わりました。