【問題】
「土用の丑の日」のうなぎの蒲焼きに、関東風と関西風があるって本当ですか?
うなぎの食べ方として、一番ポピュラーな蒲焼きは、東京をはじめ関東では、うなぎを背開き→素焼き(白焼き)→蒸す→頭を落として、たれをつけて焼く、という工程で仕上げます。
一方、大阪をはじめ関西では腹開き→素焼き→頭をつけたまま、たれをつけて焼く→頭を落とす (別名「地焼き」とも) 方法です。
蒸すひと手間が加わっている関東風は、脂肪がほどよく抜けてあっさりし、ふんわり柔らか。
関西風は脂肪が多くこってりとした味で、歯ごたえもあり、皮が香ばしく焼き上がります。
背から開くか、腹から開くかという割き方の差は、武士の多い江戸では「切腹」を連想する腹開きを避けて背開きに、商人の多い大阪では腹を割って話すで腹開きになったもの。
東西の違いの境界は愛知県岡崎市付近、天竜川が分かれ目といわれます。
うなぎはたんぱく質、脂肪、ビタミンA、コラーゲンなどを豊富に含むスタミナ食品。
『万葉集』の時代から夏バテ、夏やせ対策の薬として食べられていましたが、「土用の丑の日」が特定の日として有名になったのは、江戸時代のこと。
蘭学者で発明家の平賀源内が、うなぎ屋の宣伝キャッチコピーとして考えついたとか。
本来、「土用」とは立春、立夏、立秋、立冬、それぞれの前18日間を指しますが、今では「立秋前の夏の土用」だけが知られています。
今年2018年は7月20日が「土用の入り」で、立秋(8月7日)の前日までの18日間が土用。
そして「土用の丑の日」が2回ある年です (7月20日、8月1日(二の丑))。
うなぎは、生態に未解明な部分も多い不思議な生物。
遥か遠い南方マリアナ諸島沖の深海で卵から孵(かえ)り、はるばる日本近海へ流れ着き、川を遡って湖や沼で生活。
5~10年で成魚になると、再び川を下って南方の産卵場へ旅立ちます。
稚魚のしらすうなぎが激減し、養殖うなぎも不足気味の昨今ですから、蒲焼きも高騰しそうです。
【答え】関東では素焼き後、蒸してからたれをつけて焼く。関西では素焼きの後、すぐにたれをつけて焼く。背開き、腹開きの違いもあります。
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写真/PIXTA 文/森山弥生 参考文献:『料理上手になる食材のきほん』(野崎洋光著・世界文化社)、『日本の365日 道しるべ』(日本気象協会著・マガジンハウス)、『食のことわざ歳時記』(平野雅章著・講談社)