LESSON36
紫陽花を主役に、しっとりとした風情溢れる花あしらいを
横瀬多美保さんが暮らす東京も梅雨入りし、空が厚い雲に覆われている日が多くなりました。
雨の季節は、外出するよりも家で過ごしたい気分になるものです。
親しい友人たちを自宅に招いてのおもてなしの日はもちろん、家族と共にゆっくりと過ごす時間にも。
雨音に耳を傾けながら、静かに過ごす部屋の中には、雨空に映える紫陽花をあしらって。
梅雨の季節ならではの美しいデコレーションを拝見します。
奥行き29㎝のスペースに、キャンドルスタンドとフラワーベースを重ねて置いた窓辺のあしらい。紫陽花はフローラルフォームなどに挿すアレンジは不向きなので、きちんと水に浸ける方法で生けている。Tips1
紫陽花×青楓で和の庭のように
紫陽花は、横瀬多美保さんが大好きな花の一つ。
毎年、見頃になると名所である鎌倉の明月院を訪れて、満開の紫陽花を楽しんでいます。
「“紫陽花寺”と呼ばれている明月院の庭は、本当に素晴らしいです。特徴的なのは、その色彩。そのほとんどが青一色で、澄んだ神秘的な雰囲気があるんです。今日は、その大好きな庭の景色を思い出しながらデコレーションしています。ですから、紫陽花の色はブルー系だけを使いました」
窓台を見てみると、手前の流木のキャンドルスタンドに苔玉の青楓が置かれ、奥の銀色のフラワーベースに紫陽花が挿されています。そこに広がっているのは、しっとりとした和の庭の空気感。
「素敵だなと思う自然の風景こそ、コーディネートの一番のヒントになるんです。青楓の枝は下へ流れるようなラインを出すと自然な雰囲気が出ます。その後ろから、ふんわりと紫陽花がのぞくように。これもまさに明月院で見た一場面なんです」と多美保さんは微笑みました。