撮影前に訪れた沖縄で感じ取り、体に溜め込みたかった感情とは?
沖縄では、「千葉さんが感じたであろう感情、怒りというものを僕も感じ取ろう、体にしっかり溜め込もう、その点にのみ集中していました」と言い、毎日基地へ行って一日中金網の前で過ごしたそうです。
そして、感じたことは、「怒りと恐怖です。戦闘機が飛び立っていくとき、戻ってくるときの轟音。それを近隣の方たちが当たり前のように受け止めている姿を見て、心がとても痛くなりました」。そうして井浦さんの撮影への準備は進んでいきました。
「この作品のお話をいただいたときは、千葉さんを演じる、千葉さんを僕の体に入れていくには今の自分は身体的にもメンタル的にも器がまだちゃんとできていないと思いました。そう感じさせられたからこそ、倍のスピード、倍の分量で役を作っていって、本当に魂を削りながらでないと千葉一夫という人を演じることはできないと……。とにかくやれることは全部やって、自分が納得できるところなんてないだろうけれども、千葉さんにも千葉さんのご遺族にも失礼がないところまで、まずは自分の心も体も整えていく作業をしました」
幼少期を海外で過ごし、英語が堪能だった千葉一夫さん。劇中には英語のセリフも多々あり、井浦さんは撮影前に猛特訓したという。