不安をワクワクに変えた百戦錬磨の先輩俳優たちとの共演
「やれることは全部やって」という井浦さん。実際には、読める資料はすべて読み漁り、「一度全部僕の体の中に入れていって、体に入れたものが自分の血肉になるように、もしくは発酵していくように……。千葉さんになることはどう頑張っても絶対にできませんから、限られた準備期間の中でどれだけ千葉さんの息づかいをできるか、近づけるか」を、常に手放さなかった台本を読み続けながらイメージし続けたといいます。それでも、どこかにあった不安を払拭したのは佐野史郎さんや大杉 漣さん、石橋蓮司さん、尾美としのりさんら共演者の存在です。
「不安をワクワク感に変えてくれました。胸を借りるつもりでぶつかっていっても受け止めてくれるであろう、百戦錬磨の大先輩たちと一緒にお芝居させてもらうというのは、とても大きくて。奥さま役をやってくださった戸田菜穂さんもそうです。初共演だったんですけれども、千葉さんの違う側面と日本の家族の姿を見せるところだということをしっかり解釈して現場に持ってきてくださったので、ずいぶん息の合ったお芝居ができたなと思います。皆さんから、本当にたくさんの学びをいただきました」
本作で大杉 漣さんと初めて共演。「漣さんは、芝居をする難しさと喜びを目の前で見せてくださって、僕に伝えてくださいました」