洋食器や折敷類が整然と並ぶ棚の中。以前は吊り戸棚+キッチンテーブル下収納棚だったが、キッチンテーブル部分を半分に減らし、天井から床までの収納棚にした。棚の白い扉は光沢感があり、大理石のマーブル模様が美しく反射する。Tips4
収納棚の面積を増やし、ゴミ箱もビルトイン
リフォームの際にぐっと増やしたのは食器棚の容量です。
すっきりとした空間を作るためには、モノの量を減らすか、もしくは収納スペースを増やすかが選択肢となりますが、テーブルコーディネーターという仕事柄、食器類を減らすのは難しいため、思い切って天井から床までの高さを収納棚を設置。
冷蔵庫の上など、これまでデットスペースになっていた場所も収納できるようにしました。
「以前のキッチンを使っていて感じていたのは、モノの量に対して収納スペースが足りていないということ。そして、ゴミ箱が導線を邪魔していることでした。収納を増やし、ゴミ箱もシンク脇下の引き出しにビルトインしたことで、すっきりしました」
棚や引き出しのサイズの一つひとつにも細やかに対応できるのは、オーダーキッチンならでは。
空間と使いたいキッチン機器の寸法などを徹底的に考慮しながら、少しも無駄なスペースができないよう設計してもらいました。
2段に重ねられる桐製の帯締め用の収納箱を、カトラリーや箸、箸置き入れとして使用。サラダサーバーやレンゲなどは、タイ製の長い竹籠に入れて収納している。上部がアクリル板で中身が見える桐製の米びつを、袋状の食品類のストッカーとして使用。Tips5
棚板と箱ものを賢く使って整理整頓
多美保さんの食器棚の中を見てみると、グラス類、洋食器、和食器、トレーや折敷類などが、アイテムごとに整然と収納されています。
「思ったものが、どこにあるのか把握できるように整理整頓しておくことはとても大切。重ねすぎると器は傷みますし、出し入れもしにくくなります。ですから、テーブルウェアの収納に棚板は重要なんです」
実際に器を収納して、使ってみて、さらに修正。持ち物に合わせて棚板の高さを調整していきます。
そして、細々したアイテムや食材は箱ものを上手に使って整理整頓。
「これは、もともと帯締めを入れる桐箱なのですが、細かい仕切りがあるのでカトラリーやお箸などを入れるのにぴったり。一目瞭然に並んでいると、さっと出せてストレスがありません。箱ごとダイニングテーブルに持って行き、コーディネートと合わせながら選ぶこともできます」
桐製や籠類は軽くて通気性にも優れ、あたりが柔らかいので大理石のような硬質な素材にもおすすめなのだそう。
多美保さんは、袋に入った乾物やスナックなどの食品も桐箱に入れて保存しています。
棚の扉を開けたときにも、きちんと整った状態に保つことは、使いやすさばかりでなく、台所仕事の楽しさへも繋がっているのです。
【連載】インテリアスタイリスト 横瀬多美保の「カジュアル・リュクス」に暮らすテーブルコーディネーターやインテリアスタイリストとして『家庭画報』のページを彩ってきた横瀬多美保さん。あらゆるものに美を見いだし、独自の感性でリュクスな空間を創造し続けてきました。そして今、しっくりくるのは上質でありながらもくつろぎ感のあるスタイル、といいます。“生活の中に、美が息づく”そんな日々の暮らしに豊かさを添える素敵なアイディアを巡ります。
横瀬多美保/Tamiho Yokose
インテリアスタイリスト
東京都生まれ。テーブルコーディネーター、インテリアスタイリスト。テーブルコーディネーターの故クニエダヤスエ氏に師事。女性誌や料理本、百貨店のディスプレイなどのスタイリングに携わる。新旧、和洋を自在に織り交ぜた、モダンでエレガントなコーディネートに定評がある。『家庭画報』とのおつきあいは30年近く。流行や時代の変化をしなやかに受け止めながら、幸福感漂う美しい暮らしを提案し続けている。
2018年4月より、コミュニティFM
「渋谷のラジオ」にて、隔週水曜日12時30分~12時55分『渋谷のテーブル』にゲスト出演中。
『テーブルコーディネートから始まる 美しい暮らしのインテリア365日』 2019年10月2日発売!
『家庭画報』をはじめとする女性誌で活躍する、インテリアスタイリスト・横瀬多美保さん。ご自身の1LDKでの暮らしを1年間にわたり追った『家庭画報.com』の人気連載が、ついに一冊の本になりました。コーディネートの組み立て方、“自分らしい”空間の作り方も初公開! 今すぐ活用できる暮らしのtipsが満載です。