寒くてもピクニックはできる!?
季節は少し戻りますが、レディ・フィオーナは「実は寒い季節でもピクニックをするのよ」と茶目っ気たっぷりに語ります。
さすがに真冬の間はおとなしくしているようですが、早春の陽光を感じる3月末ともなると、彼女は飛び出したくて、うずうずするようです。
待ちきれずに、友人達と敷地内の「春探し」を兼ねた散歩を企画、ついでにピクニックもするそうです。
重ね着をしてブーツを履き、手袋に帽子という真冬のいでたちの伯爵夫人と友人達の姿を想像してみてください。
水仙が咲きそろう早春のハイクレア城。
群生するスノードロップや満開になった水仙を、やっと愛でることができる早春、でも吹く風はまだまだ刺すように冷たいのです。そんな中でもピクニックをするなんて、やはり質実剛健な英国人だけなのかもしれません。
ホワイトオニオンにトリュフオイルをあしらったスープは、寒い日のピクニックに最適。
「寒い日のピクニックに欠かせないのは、スープです」とレディ・フィオーナ。
目的地に着く頃を見計らい、大型ジープでスタッフが「熱々のオニオンスープやマッシュルーム・スープ、サンドイッチやキッシュを届けてくれます。
「そうそう、人数分の湯たんぽも一緒にね」と伯爵夫人。湯たんぽを抱えながら毛布にくるまって熱いスープをすするピクニックなんて、きっとゲストにとっては忘れ難い体験だったのではないでしょうか。
●フィオーナ・カナーヴォン伯爵夫人/ロンドン生まれ。6人姉妹の長女。 セント・アンドリューズ大学で英語とドイツ語を専攻、ロンドンで国際会計士として働く。1999年カナーヴォン伯爵と結婚。一人息子エドワードの母。ハイクレアのガイドブックをはじめハイクレア絡みの数々の著書をしたため、歴史家として知られる。趣味は乗馬、読書。オフィシャル・サイトは
https://www.ladycarnarvon.com/
●ハイクレア城に暮らす/ドラマ『ダウントン・アビー』で一躍脚光を浴びた英国ハイクレア城。その城に今も住む第8代カナーヴォン伯爵家の人びとのライフスタイルを、英国フリーライター山形優子フットマンが取材。貴族の暮らしに息づく英国文化をご紹介します。
(今までの連載はこちら) 山形優子フットマン/Yuko Yamagata-footman
フリーライター
上智大学文学部社会学科卒業。カルフォルニア州立大学心理学科でヒューマニスティック・サイコロジーを専攻、修士課程修了(ロータリー財団奨学生)。新聞記者を経てフリーライターに。在英約30年。イギリス人男性と結婚、3人の娘の母。著書に『憧れのイングリッシュガーデンの暮らし』(エディシォンドゥパリ)、『なんでもアリの国イギリス なんでもダメの国ニッポン』(講談社文庫)他。