一度は訪れてみたい憧れのホテル「アマン」は、その土地ごとに個性あるリゾートを展開してきました。アジア各地とヨーロッパにある5軒を新規取材、その魅力を解き明かします。(
前回の、個性溢れるアマンをめぐる第4回はこちらから。)
2階のダイニングエリアでは、ロココ調のフレスコ画装飾やムラーノガラスシャンデリアに囲まれ、お茶や食事やアペリティフを味わったり、大運河の風景を堪能したり。ゴンドラ行き交う運河からボートでチェックイン
-アマンヴェニス(イタリア・ヴェネツィア)
1550年、豪商コッチーナ家が、イタリアルネサンスを代表する建築家サンソヴィーノの弟子たちに建てさせた館は、18世紀に別の貴族の手に渡り、パラッツォ・パパドポリの名が冠されると同時に、ヴェネツィア美術の巨匠ティエポロやロココ調建築の主導者ミケランジェロ・グッゲンハイムが内部装飾を施しました。
そして21世紀。「アマン ヴェニス」として生まれ変わった今も、往時の美しさそのままに、私たちを迎え入れてくれます。
ヴェネツィアの鉄道駅から水上タクシーをチャーターすると、小運河を通ればホテルまで15分ほどの距離です。
贅沢な一枚板製のアンティークボートを復元した「アマンボート」。運河の交通規制上、駅との送迎には使えないが、運河の観光渋滞を避けた特別ルートで近隣の島を巡るなど、使い方はゲストのお好み次第。でもここはやっぱり、大運河の風情を楽しみながら行きたいもの。約40分のクルーズを楽しみ、リアルト橋をくぐるとすぐに、屋根に2本のオベリスクを冠したアマン ヴェニスが見えてきます。
2本のオベリスクが目を引くアマン ヴェニスの建物。本来、古代エジプトで神殿などに飾られていたというオベリスクは、館が代々海軍提督を輩出する名家のものであったことを示す証拠。ゲスト専用の船着場に降り立てば、きびきびとした、それでいて優しい笑顔のスタッフたちが出迎えてくれます。
19世紀、近くに住んでいたという詩人バイロンをイメージしたカクテル「パッショネイト」。目の前でカクテルに燻煙をかける演出は、とてもロマンチックお酒好きでロマンチストだったバイロン卿にちなんだバーは別名「赤の間」。