黄橙のピラカンサの足元ではウィンターコスモスとも呼ばれるビデンスが満開に。黄色の濃淡の景色も晩秋らしくておしゃれ。
晩秋の「赤」はより華やかで気高い
赤い花色はともすると子どもっぽく見えがちですが、秋から晩秋にかけての赤はエレガントで大人っぽい表情に見えるから不思議。おそらく斜めから注ぐ秋の日差しのせいで色が深みを増しているからでしょう。また、周囲の木々が赤や黄色に紅葉しているため、花色の赤が目立ちすぎず、しっくりと庭に馴染んでいるからかもしれません。この庭でも素敵な「赤」がたくさん見つかります。
春には白花をたわわに咲かせていたピラカンサ(和名トキワサンザシ)も小さな実がすき間がないほどびっしり実り、真っ赤に染まります。一般的な立木のピラカンサもありますが、この庭で注目したいのは、壁に沿って枝を伸ばす剪定方法、エスパリエ仕立てのピラカンサ。欧米では果樹などでもこのエスパリエ仕立てが見られますが、壁面が美しく彩られる景色はとても新鮮で、自宅でも真似してみたくなります。
白い花穂が愛らしいキミキフガも11月初旬までは咲き残っている。晴れて暖かい日にはこの景色の中でベンチに座り本を読んでみたいと、毎年思います。
また、切り花でよく利用するサンゴミズキ(シラタマミズキ)も晩秋には鮮やかな赤に色づきます。この庭では花壇のほかに池の周りなどにもよくサンゴミズキが使われていますが、枝のすき間からその先の景色が透けて見え、視界を遮らないのが魅力なのだそうです。サンゴミズキの赤い枝の下ではセンニチコウやサルビアの赤花が咲き残り、その景色の愛らしいこと! 赤という色が持つ魅力を見逃さないよう、地面にまで視線を注いで散策してみてください。