白いテンプル(神殿)を象徴とした芝生の庭「テンプルローン」。周囲の木々の紅葉とみずみずしい芝生のグリーンのコントラストが美しい。
紅葉とみずみずしい芝生のコントラストも見所
アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデンは、庭を取り囲むように木々が多く植えられ、その種類が豊富なのも大きな魅力です。そして晩秋には落葉樹が赤や黄色に色づく美しい紅葉が見られます。日本庭園の紅葉とは異なる、心が落ち着く紅葉は、イングリッシュガーデンならではだと思います。
さて、その紅葉に対し、この庭の芝生はみずみずしいグリーンをしている不思議。じつは9月下旬に寒地型の芝草の種まきをしているのです。「ウィンターオーバーシード」と言われるこの管理法は、冬の間も芝生を休ませず、春先からみずみずしいグリーンを楽しむために行われます。5月頃からは下から暖地型の芝草が伸びてくるため、1年中グリーンの芝生が楽しめるというわけです。
12月中旬から2月中旬までは冬季の休園に入るので、芝生が刈れててもいいんじゃないかとも思うのですが、「この管理をしないと春に美しい芝生の庭をお客様に見てもらえないから」とヘッドガーデナーさん。一見無駄に見えるような努力が、先の季節の美しい風景を生み出すのだと実感しました。
ただし、常緑のコニファーを集めたガーデンでは、冬でも木々に色彩があって美しいので、オーバーシードはせず、あえて自然に芝を枯らして季節感を出しているそうです。
木枠で区切った菜園に短い畝を立てて野菜を栽培。周囲の壁にはリンゴやサクランボなどの果樹をエスパリエ仕立てに。キッチンガーデンでは家庭菜園でも利用できるアイディアがたくさん見つかる。
最後にもうひとつ。アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデンにはとてもかわいらしいキッチンガーデンがあります。「イングリッシュガーデンには必ずキッチンガーデンが必要」というのが、この庭を最初にデザインしたイギリス人ガーデンデザイナー、ウィリアムさんの方針だったのだそう。レタスやブロッコリー、カリフラワーなど秋まきの野菜がちょうど収穫期を迎えるのが11月。旬の野菜がすくすく成長している姿を楽しんでください。
なお、アンディ& ウィリアムス ボタニックガーデンの母体はホームセンターの「ジョイフル本田」なので、ガーデンはジョイフル本田新田店のエリア内にあります。ガーデンセンターには春の花苗や球根が種類豊富に揃っていますので、春の庭づくりの準備にぜひお立ち寄りください。
Information
アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン
群馬県太田市新田市野井町456-1(ジョイフル本田新田店エリア内)
高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
ガーデニングエディター
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。現在は、種苗会社の会員向け月刊誌のほか、園芸雑誌などの編集に携わる。