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AI(人工知能)による画像診断で、未来の医療はどう進化するのか

2018.07.13

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実現への期待が大きい一方で、乗り越えるべき課題も多い


一方で、日本は、AIの恩恵を受けられる可能性が高い国といえます。「日本は世界で最も多くのCT装置を保有しており、人口あたりでも世界一です。MRIも台数は世界2位(1位は米国)で、人口あたりでは世界一です。放射線技師の撮影、医師の読影の技術は極めて高い。

しかし一方で放射線科医が非常に少なく、「人口減少が進み、医療スタッフを増やせない日本だからこそ、AIが生かせるのです」。

ただ、日本で、あるいは世界でAIの支援による画像診断を進めるには、AIの技術開発とともに、医用画像を使いやすい形に加工して、データベースを作る必要があります。AIは大量の画像を処理するほど精度が高まると考えられており、そのような大量の画像を集めることが重要なのです。


中田さんは「すでに米国では政府が胸部X線画像のデータベースを公開して、放射線科医などに提供しています。日本でも放射線関連の学会などで効率よく画像を集めてデータベースを作るべき」と提案します。

また、これらの作成に携わる医師にAIの基本的な知識を教える場、ソフトウェアや機器の承認のための評価指標や評価体制なども今後の課題です。診断が本当に合っていたのか、治療に貢献したのかどうかも検証する必要があります。

そのため、AIによる画像診断のレベルを上げ、利用していくにはまだ時間がかかります。胸部X線画像やマンモグラフィーは5年ほどで人間の能力を超え、AIが診断するようになる(レベル4)という予想もあるとのことですが、「深層学習が進むとAIが出した結果を人間が説明できないという点もネックになります」と中田さんは話します。

それでも、2015年に囲碁の世界チャンピオンを破ったAlphaGoを開発した「DeepMind」社など世界的なIT企業が異分野である医療の領域に参入し始めたのは、画像診断とAIの相性のよさ、またビジネスとしての未来、人類への貢献が考えられるからです。

なお、画像検査の中でも、超音波検査は、X線や磁気などを使わないため安全で、装置も小さくできます。すでにスマートフォンほどの大きさの装置が開発されており、タブレットやスマートフォンとつなぐことでどこででも撮影できるようになっています。

「日本でも医療機器として承認されていて、保険点数もつきます」と中田さん。将来的には自宅で超音波検査をし、アプリを通じてAIに診断してもらうことが可能になりそうです。

「将来、放射線科医という仕事はなくなるのではなくて、AIと協働して仕事をしていくことになります。AIを使うことでこれまで撮影しにくかった部分が見やすくなったり、超高解像度で見たりできるようになり、さらにAIの判定結果を勘案しながら、よりよい治療を提案するようになっていくでしょう」と中田さん。

「AIが発展する時代に放射線科医の新しい仕事を開拓していきたいし、患者さんにより身近な存在になるにはどうしたらよいかを模索している最中です」と語っています。
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