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AI(人工知能)による画像診断で、未来の医療はどう進化するのか

2018.07.13

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人工知能(AI)
〜人間と同等の、あるいは人間を超えた知的な作業を行うコンピュータープログラム〜


「人工知能」という言葉には公的な定義はなく、使う人によって意味が異なります。2013年に出された総務省『情報通信白書』には「本書では人工知能(AI)について特定の定義を置かず、人工知能(AI)を“知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術”と一般的に説明するにとどめる」と書かれています。

これには、「知能」そのものの定義がないこと、人工知能はいろいろな技術そのものを指すのか、またそれらが統合されたものを指すのかも不明で、統合された全体像はつかみにくく、ほとんど研究されていないことなどが理由です。


また、AI自体の知的活動は見えないものであり、ロボットのような特定の形態を取る必要はなく、また知的活動を生み出すメカニズムもヒトと同じであってもよいし、コンピューター独自の計算方法であってもよいとされています。

中田さんは、AIは誰にとっても開かれていると話します。「世界的にDemocratizing AIという言葉が使われるようになっています。訳してみると、“人工知能デモクラシー”といったところでしょうか。これは、世界中のどんな人でも、やる気さえあればAI開発に従事できる環境を整備するという考え方です。

そこには、すべての人のためにAIが使われるという前提があります」。一般の人にとっては画像検査を受けたときにデータベース化に協力することが“人工知能デモクラシー”への参加といえそうです。

画像検査の発展の歴史
〜20世紀の画像検査の発展を基礎に、AIで新しい時代が開かれる〜


1895年
ドイツ人のレントゲンがX線を発見する(1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞)。

1910年
バリウムを用いる消化管のX線造影検査が提案される。

1920年代
ヨードを造影剤として用いるX線造影検査が始まる。

1940年代後半〜1950年代
超音波による脳疾患の画像の報告が増え、超音波検査の技術が発達する(70年代に臨床応用が一般化)。

1958年
核医学検査用のカメラが発明される。

1968年
英国でX線を用いるコンピューター断層撮影(CT)装置が発明され、72年頃から臨床応用が始まる(このCT装置を発明した英国のハウンズフィールドと米国のコーマックは79年にノーベル生理学・医学賞を受賞)。

1978年頃
人体の核磁気共鳴画像(MRI)が発表され、臨床応用が始まる。MRI装置の開発に尽力した米国のラウターバーと英国のマンスフィールドが2003年にノーベル生理学・医学賞を受賞。

1980年代
単一光子放射断層撮影(SPECT)や陽電子放射断層撮影(PET)といった画像検査が普及していく。

2018年
米国食品医薬品局(FDA)がAIを用いた脳卒中の画像診断支援ソフトなどを次々と承認する。

中田典生(なかた のりお)さん



1988年東京慈恵会医科大学医学部卒業、93年日本医学放射線学会放射線科専門医取得、2001年医学博士取得、同大学高次元医用画像工学研究所にて鈴木直樹教授に師事、04年同大学放射線医学講座講師を経て、11年から准教授。17年厚生労働省 保健医療分野におけるAI活用推進懇談会構成員、また同年に北米放射線学会プログラム委員(放射線科医療情報分野)に就任。
取材・文/小島あゆみ イラスト/©tocko〈LAIMAN〉(タイトル)

「家庭画報」2018年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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