縠織(こめおり)
〜海老ヶ瀬順子が織り成す、神服から想を得た精緻な文様〜
羅織や紗織と同じように、経糸を綟らせて織る縠織。古くは神服に残され、下襲や直衣などに用いられたもの。
海老ヶ瀬さんは、これに想を得て、観音紗という両側から綟じり、浮き文様を織り出す技法で稀少なきものを作っています。「羅」と「経錦」の人間国宝・北村武資さんに薫陶を受けた染織家です。
きもの/海老ヶ瀬順子(矢代仁) 帯/おび弘 帯揚げ/和小物さくら 帯留め150万円/ミキモト(ミキモト カスタマーズ・サービスセンター) 帯締め/道明 髪飾り/てっさい堂 バッグ35万円/ディオール(クリスチャン ディオール))「夏の雪」臭木で染めた爽やかな水浅葱、茜の鉄媒染で染めた赤みのある梅鼠色で経絣を織り出した、神々しいほど優雅な夏きもの。
地色は生成りの白ですが、精練した糸とセリシンを残した糸を織り入れることで、豊かな表情を実現しています。紗組織の上に、米粒のような浮き織りで菱形が織られています。
きもの地/海老ヶ瀬順子(矢代仁)「光のパイプオルガン」生絹の糸をホソバヒイラギナンテンで染めた、透明感のある黄色を主に、練り絹の輝く白の縞や薔薇で染めたグレーの縞を織り入れて。
平成29年の日本伝統工芸近畿展に出品された作品。宮沢賢治の詩「告別」の中に描かれた一節に、「光でできたパイプオルガンを弾くがいい」というところがあり、そのイメージを表現しています。
地には2種類の浮き織り文があります。主にセリシンの残る生絹で張りのある質感を作り出し、ふんわりと柔らかく透ける織物に仕上げています。