代表作である「アンジェリカ」コレクション。NORIKO HERRON Glass + Artの始まりはシャンデリア
「欲しいシャンデリアがない−−−」。そんな思いが、ヘロン範子さんがガラスアートの道へ進むきっかけでした。
レディースニットデザインの仕事で日本とイタリアを行き来する暮らしの中で、さりげなくセンスの光るシャンデリアが身近に溢れていた経験を持つNORIKO HERRON Glass + Artのデザイナーであり、ガラスアーティストのヘロン範子さん。
帰国後、日本では納得のいくデザインが見つからなかったことから、「ならば、自分で作ればいい」と一念発起。アンティークのシャンデリアのパーツをワイヤーで繋いだりして創作するうちに、次第にガラスへの関心が深まっていきました。
ガラス製作の専門学校へも通い、ホウケイ酸ガラスを用いたバーナーワークを学ぶうちに、ガラスの有機体にも似たな変容に魅せられ、オブジェや石膏ボードにガラスをあしらったアート作品の制作へと発展。
2008年に、「NORIKO HERRON Glass + Art」の前身となる、シャンデリアをメインにしたブランド「アルティジャーノ」を立ち上げます。
手のひらにのる小ぶりなサイズの存在感のあるオブジェ。自然の神秘を映すガラスジュエリーの誕生
透明度と硬度が高く、耐熱性に優れたホウケイ酸ガラス。その特質を生かし、まるでオブジェを纏うようなジュエリーの製作に至ったのは2012年のこと。
「インテリアとファッションの垣根を越えてボーダーレスに、個人のアイデンティティを託すようなジュエリーが作りたい」と考えたヘロンさんは、ブランド名を自身の名を冠した「NORIKO HERRON Glass + Art」に改名。
イメージをぐっとシャープに研ぎ澄まし、ガラスの自在なメタモルフォーゼを切り取ったジュエリーを次々とデザイン。
NORIKO HERRON Glass + Artのコレクションより。そのインスピレーションは、年月を重ねた古木の根や幹のうねりや躍動、勢いよく流れ落ちる滝の流線やほとばしる水滴、太古の時の流れを閉じ込めたような岩肌など……生命力に満ちた自然美から着想を得ているそうです。
「基本的にはイメージを描きながらバーナーワークをするのですが、時にはガラスが溶ける方向を尊重します。そんな偶発的なフォルムから、また新たな創造力を掻き立てられることも」(ヘロンさん)。
NORIKO HERRON Glass + Artのコレクションより。ボリュームがありながら、身につけると不思議とファッションに溶け込む。