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織物好き垂涎の的、インドネシアの経緯絣「グリンシン」とは?

2018.07.20

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手に汗握る、バリ島の伝統舞踊


京都にいるときは、師走の南座で歌舞伎を見るのを心待ちにしていたことを、大村しげさんは折に触れ、記述しています。芝居好きはバリ島でも同じだったようで、伝統芸能のバリ舞踊を見に行ったことが著書『ハートランド バリ島 村ぐらし』に綴られていました。ウブ玉(ウブドの玉三郎)と名づけた、お気に入りの役者さんに会わせてもらったと、当時の文面から喜びようが伝わってきます。



バリ島では毎晩のように舞踊が披露されています。今回はウブド王宮で行われた公演を観賞。公演開始は19時30分ですが、いい席で見るには早めに入場しておくのがよいでしょう。入場料は10万ルピア。


公演内容は、第1部が『ラーマーヤナ』を基にしたレゴン・ジョボッ・ダンスで、猿に変えられてしまう2人の兄弟のお話です。

第2部はラーマーヤナ舞踊劇で、8幕からなる見どころいっぱいです。ラーマーヤナとは古代インドの長編叙事詩のことで、配布された資料には、紀元前7世紀頃にインドで書かれ、10世紀以降にジャワ島を経由してバリ島に伝えられたとあります。



第2部は国を追われた王子とその妻の物語。妻を気に入った魔王が、彼女を連れ去ってしまいます。王子は聖鳥ジャタユや白い猿ハヌマンの力を借りて、魔王を倒し、妻と幸せを取り戻すストーリーです。

公演は現地の言葉で字幕もありません。入り口で各幕のあらすじの書かれた日本語の説明書がもらえるので、それを見ながら観賞すれば、十分に楽しむことができます。



驚いたのは、歌舞伎との共通点が感じられたことです。公演の間、ストーリーを説明する弁士の抑揚のつけ方や発声は、現地語にもかかわらず、まるで歌舞伎の口上。序盤からなかなか一緒になれない男女の不運や悲しさなどに引き込まれ、クライマックスの主人公と悪漢の一騎打ちは、まさに手に汗握る一幕でした。もしかすると、歌舞伎が大好きだった大村さんも、バリ舞踊と歌舞伎に同じような感情を抱いていたのかもしれません。

2回にわたり、大村しげさんの視点を通し、バリ島の文化を紹介しました。京都を隅々まで見たという方なら、大村しげさんがそうであったように、あなたもバリ島と京都の共通点を見つけられるのではないでしょうか。ぜひ、次はあなた自身が、バリ島で彼女を魅了した現地の文化に触れてみてください。

次回からは、また、大村しげさんの記述を道しるべに京都の町を紹介します。お楽しみに。

Information

取材協力:ガルーダ・インドネシア航空

  • 成田国際空港、関西国際空港からバリ島へは、ガルーダ・インドネシア航空の直行便が毎日運航しています。個数制限なくファースト、ビジネスで64kg、エコノミーで46kgまで荷物を預けられるので、お土産をたくさん買っても安心です。 https://www.garuda-indonesia.com インドネシア共和国観光省ビジットインドネシアツーリズムオフィス https://www.visitindonesia.jp/

川田剛史/Tsuyoshi Kawata

フリーライター
京都生まれ、京都育ち。ファッション誌編集部勤務を経てフリーライターとなり、主にファッション、ライフスタイル分野で執筆を行う。近年は自身の故郷の文化、習慣を調べるなか、大村しげさんの記述にある名店・名所の現状調査、当時の関係者への聞き取りを始める。2年超の調査を経て、2018年2月に大村しげさんの功績の再評価を目的にしたwebサイトをスタートした。
http://oomurashige.com/
文・撮影/川田剛史
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