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医師が「大丈夫」というとき、いわないとき。わかりにくい「大丈夫」の真意とは

2018.07.20

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明言を避ける医師に対応するケーススタディー


イラストレーション/平松昭子

ケース(1)
「がんではないでしょう……」。主治医の頼りない答えが不安。どうしたら安心を得られる?


食欲不振とおなかの張り、ときどき生じる腹痛に違和感を持っていたAさん(55歳)。がんを心配して受診し超音波とCTの検査を受けました。


主治医の診断は、「おそらく、がんの心配はないのではないでしょうか」と頼りない答え。思わず「私はがんではないのですね?」と念を押すと、「そうですね……まあ、とりあえずそう思っていていただいて問題はないでしょう」とさらにあやふやな答えが返ってきました。

安心したくて検査を受けたのに、医師はなぜ確実なことをいってくれないのか、Aさんの不安は増す一方です。

【患者の心得】
「絶対」「必ず」と聞くのはNG。具体的な数値として尋ねてみる


主治医からそれ以上確実な答えを引き出すのは難しいと思われます。100パーセントがんではないといいきることは不可能だからです。

患者さんが不安のあまり「絶対にがんではないですか?」と念を押したり、治療に際して「必ず治りますか?」などと確認するのは逆効果。医師は言質をとられまいと、かえって不確実な答え方に逃げようとする場合もあります。

たとえば「私ががんである確率は10のうちどれくらいですか」と聞くと、医師も「0.5以下でしょう」などと数値で答えられ、患者さんも自分の状態をイメージしやすく安心を実感できるかと思います。

ケース(2)
咳止めの薬を処方された。「効きますか?」と聞くと「たぶん」としか答えない


Bさん(52歳)は1か月前から咳が止まらず、肺の病気を心配してCT検査を受けました。その結果、重大な病気は見つからず、医師は「大丈夫です、よかったですね」といって咳止めの薬を出してくれました。

Bさんはひとまず安心しましたが、咳は治らず相当つらかったので「この薬は効くでしょうか?」と聞くと、「たぶん効くと思います。とりあえず飲んでみてください」と不確かな返事。

症状があるのに大丈夫といわれ、薬で咳が止まるともいってもらえず、曖昧な医師にどう対応すれば自分が納得できるのか戸惑っています。

【患者の心得】
いつ頃、どの程度効くかなど薬の効果を具体的に質問する


医師は重大な病気が見つからなかったことを「大丈夫」と表現したのです。患者さんが最も知りたいのは薬の効果だと思いますが、万人に有効な薬は存在せず、誰も「効きます」と断言することはできません。

医師が答えやすいのは、薬の効き方や見通しに関する具体的な質問です。「今の症状を10とするとどれくらい軽くなりますか」「4くらいにはなると思います」、「いつ頃から効いてきますか」「2、3日で効いてくるでしょう。4、5日後に効果がなかったらまた受診してください」など、医師から具体的な回答が得られれば不安も少しは軽減するのではないでしょうか。

ケース(3)
医師の対応があまりにも曖昧


Cさん(50歳)は両腕の湿疹で近所の内科医を受診。医師は簡単な診察の後に「大丈夫でしょう。少し様子をみましょう」というだけ。何の解決にもならず心配です。

【患者の心得】
1人の医師に頼りすぎない


「大丈夫」の中には、専門外なのでよくわからないとの意味が込められていることがあります。そんなニュアンスを察知したら、皮膚科を受診し直すのも手。すべての困り事を一人の医師に解決してもらおうと思わないほうが、医師も気が楽ですしよい治療結果につながるものです。

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取材・文/浅原須美 撮影/八田政玄 イラストレーション/平松昭子

「家庭画報」2018年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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