中国・上海——アマンヤンユン。ひとつの村と楠の森の移築計画からすべてが始まった
家庭画報2018年7月号の別冊付録「『アマン』のすべて」。このなかでご紹介している
「アマンヤンユン」は2018年1月8日にプレオープンし、4月28日にグランドオープンした中国で4軒目のアマンです。
開業予定の2軒を含め、現時点で世界21か国に33軒あるアマンは、すべてのホテルにそれぞれの物語がありますが、ここアマンヤンユンが開業に至るまでの浪漫とスケールは、いつか小説化されたりするのでは?と思ってしまうほど、ドラマティック。
1人の起業家が私財を投じ、ダムに沈む予定だった故郷の村、森を移築再建する計画がアマンヤンユンにつながっていくのですから。
中国・上海に開業した「アマンヤンユン」。アマン好き、ホテルフリークの方々からはすでに注目を集めています。中庭に佇む、樹齢約1000年に近いご神木である楠、築約400年の伝統家屋群を移築再建して守り、後世に残したいというマ氏の想いがアマンヤンユン開業のきっかけとなりました。その起業家の名前はマ・ダードン氏
上海からおよそ700km離れた江西省撫州市の村で生まれ育ちました。
今から19年前、25歳で上海に出て事業に成功し、財を成したマ氏は、明・清朝時代に建てられた伝統家屋や楠の森を有する出身地である村が水の底に沈む危機にあることを知り、移築計画を立て始めました。それが17年前のこと。
プロジェクトを立ち上げてから長い年月をかけ、村で“皇帝の樹”として尊ばれていた樹齢約1000年に近いご神木である楠を含む約1万本もの木々や、50軒に及ぶ明・清朝時代の邸宅を解体して上海へ運び、アマンヤンユンのアンティーク ヴィラ13棟、アマン レジデンス12棟、カルチャーサロンとして移築再建することに見事成功したのです。
マ氏の故郷から掘り起こされ、輸送された木々の数は約1万本。上海の地にて、うまく根付いて新たに自生できるかが懸念されていましたが、専門家が揃ったプロジェクトチームにより見事に成功。アマンヤンユンにて新たな樹齢を数え始めました。幸運にもアマンヤンユンのキーパーソンであるマ・ダードン氏から直にお話をお聞きすることができました。1人の起業家の、夢と浪漫の物語をお届けします。