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前回まで)理想の里山を実現するため、農家になる決意をした今森さん。たくさんの蝶が舞う豊かな環境づくりに、欠かせない植物とはいったい何でしょう。
今森光彦 環境農家への道
第16回 カラスザンショウの木
(写真・文/今森光彦)
今回の農地では、さらに重要な植物を植栽計画にいれている。その植物は、カラスザンショウ。
カラスザンショウは、里山に自生するミカン科の植物で、生長すると高木になる。珍しい植物ではないが、食用にはならないので、名前を言っても知っている人は少ない。
カラスザンショウの木。しかし、この植物、驚くべき能力をもっている。なんと5種類のアゲハチョウに食料を提供できるのだ。
愛蝶家ならだれもが一目置く存在だが、植木屋さんが扱わないので、自生しているものを地取りするしかない。花のあとの実は、野鳥が好んで食べるため、拡散する。 野山で実生が発芽して1?3年くらいの幼木を発見したら、植栽のチャンスだ。
高木になるカラスザンショウは、アゲハチョウの仲間にとって大切な木なので、レイアウトを決めて計画的に移植する。しかし、荒れた土地に芽を出すくらいの逞しさをもっているのに、植替えをすると枯れてしまうことがよくある。意外にデリケートなのでとても慎重に扱わなくてはいけない。
カラスザンショウは、2年の間に農地の各所に植え付けたが、今のところ、どの木も順調に育っているので生長が楽しみだ。