水に入った後は濡れて白衣が透けてしまうため、下にスパッツを履く。肌色より白色など色のついた下着のほうが、透けたときに安心。神職に続き、小走りで走りながら禊場へ向かう。実際に禊場で奏上する祓詞(はらえことば)と大祓詞(おおはらえのことば)の意味を学び、簡単にその場で発声。なかなか聞き慣れない言葉が多いですが、読み上げているうちに心地よくなってきます。
最後は、立ち上がり、禊行法の所作を学びます。「鳥船」は、船を漕ぐ動作ですが、神職の田中さんから「オールを実際に持って、漕ぐように、脇を広げて、手はひっくり返さないように。天に向かって神様に近づいていきます」と情景を思い浮かべるように指導されます。
ひと通りの動作を学べば、いよいよ境内にある禊場へ行って体験です。
10年前に新しく造られた禊場。水に入る前の所作のほうが水に入っている時間より長く、なかなかハード。まるで別世界。清らかな空気が満ちる禊場へ
今回、装束はレンタル。タオルもついて1000円です。禊場に隣接する更衣室で着替え、水に濡れても大丈夫な「神拝詞(しんぱいし)」を鉢巻に挟んで準備完了。
いよいよ禊場へ、素足で「エイッ、ホー」と掛け声をかけながら小走りで向かいます。そこからは、息つく暇もなく進んでいきます。
(1)振魂(ふりたま)→ (2)祓詞(はらえことば)奏上 → (3)鳥船(とりふね)→(4)雄健(おたけび) →(5)雄詰(おころび)→ (6)息吹(いぶき)ここまでの所作を地上で行いますが、自然と汗ばむぐらいのハードさ。
1段目「イーエッ、エーイッ」、2段目「エーイッ、ホッ」、3段目「エーイッ、サッ」と唱え、それぞれ「禊歌」を2回奉唱しますが、次第に声を出すのが気持ちよくなってきます。
(7)身滌(みそぎ)水の中では、感謝の祈りを捧げ、大祓詞を奏上。いよいよ水に入ります。「エーイッ」と叫びながら、2本の指をあわせた手刀で自分の正面を切り、入ります。
水の中で手を合わせ、鉢巻から神拝詞を取り出し、神職の先導に従い、大祓詞を奏上します。白山の伏流水で満ちる禊場の水は、とてもまろやかで肌にも心地よく、大祓詞を口に出すことに没頭する。それだけでも、心が満ち満ちていくようです。
水の中にいる時間はあっという間に過ぎ、また、地上で、(3)鳥船~(6)息吹までをもう一度行い、最後は一拍手し、「おめでとうございます」と言って祝います。
まるで生まれ変わったようなスッキリ感!
終わった後は、俗世の穢れがさっぱり落ちたかのような爽快感。
わずか半日でしたが、清浄なる水や空気に身体ごと触れることは、心身ともに清められ、また明日からの日常を過ごす活力が湧いてくるようです。
無事に修了証を授与。今回は、夏で、気温も水温も気持ちの良い季節でしたが、今度は、風の音、鳥や虫の声、水の温度などが変わる、四季それぞれの禊を体験したいと感じました。
今の生活とはまったくかけはなれた体験。
その中から新しく見えてくる景色もあります。何かに迷っている方、新しい体験をしたい方、など目的は人それぞれだと思いますがぜひ、禊を通して、霊峰白山の水の力を感じてみてはいかがでしょうか。
Information
白山比咩神社昇殿参拝とみそぎ体験
石川県白山市三宮町ニ105-1
TEL | 076-259-5893(白山市観光連盟) |
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料金 | 1人3000円 |
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時間 | みそぎ体験 14時10分~16時45分 |
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2018年の開催日 | 8/4、8/18 、9/15、9/30、 10/14、10/28、11/10、11/17 |
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最低催行人員 | 2名(10月、11月は5名) |
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装束料金 | 男性:白色ふんどし1500円、女性:白衣7000円(レンタル1000円) |
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直江磨美/Mami Naoe
フリー編集者&ライター
金沢市生まれ。大学卒業後、出版社の婦人雑誌編集部に勤める。2008年に金沢にUターンし、フリー編集者・ライターとして活動する。