江戸の歴史と食文化を色濃く残す東京・日本橋。この街を支える老舗の若き主人たちは、今熱い想いに満ちています。それは、2020年に向け、街ぐるみで取り組む「糖質オフ」プロジェクト。
伝統を守りながらも時流に合わせた柔軟な変化を取り入れ、次の世代につなげることこそ「江戸前」。そんな心意気が新しい潮流を生み出しました。
今回は日本橋にある「てん茂」の奥田秀助さんが考案した、名物・鮑も登場する、贅沢な 夏の天ぷらコースをご紹介します。(
前回の、江戸前「糖質オフ」昼膳 第4回はこちらから。)
てん茂 奥田秀助さん「ころもの小麦粉を塩梅。糖質オフの軽やか天ぷらが実現して自分でも驚いています」
「昔から、江戸の天ぷらといえばごま油が主流。白ごまをいって、搾ったごま油を使います。熱にも強くて、高温にも耐えられるから、これで揚げると油ぎれがいい。ごまの香りと風味も食欲を誘いますよね」と、白衣に蝶ネクタイの姿がお似合いの奥田秀助さん。
明治18(1885)年に屋台で初代が開業し、明治40(1907)年に現在の地に店を構えたという「てん茂」の4代目ご主人です。
「ごま油はとても良い健康食材です。ですから糖質オフ献立として取り組む場合、最大の問題は小麦粉にある。ころもを薄くするか、品数を絞るか、と悩んだのですが……」。
揚げ時間やタイミングなど試行錯誤の結果、ころもの小麦粉の量を従来の3分の2まで抑えることに成功。135年の歴史の中で初の「糖質オフ天ぷら」が誕生しました。
「締めの天茶は、ご飯の量を小ぶりに。ご飯にのせるかき揚げは、もともと粉よりも卵が多いころもで揚げているので、ふっくらとして食べ応えもあります。通常の一通りと遜色なくお楽しみいただけると思います」。