コーンウォールの日々
ロンドンの夏は暑い年もあれば冷夏の年もあり、毎年安定しません。それゆえ人々は海辺へ太陽を求めて訪れます。
レディ・フィオーナのご実家も然り。それまで静まり返っていた屋敷は、一家が到着すると、6人の少女の小鳥のような笑い声に満ち、壁紙や家具までも息を吹き返したかのようだったことでしょう。
小さい頃から活発だったレディ・フィオーナは、妹たちと一緒に泳いだり、海辺で乗馬を楽しんだり、散歩やピクニックなど、日中は太陽と共に過ごしたそうです。
そして夜になると少女たちは読書にふけります。彼女たちの小さな手が小説のページをパラパラとめくる様子は、あたかも過ぎ行く夏の、日めくりを思わせました。
イギリスの作家ケネス・グレアムもコーンウォールでの休暇で『Wind in the willows』(たのしい川辺)のインスピレーションを得たという。『Wind in the willows』は英国の代表的な童話の一つで、フィオーナ子供時代の愛読書の一つだ。写真はコーンウォールにある牧場からの眺め。写真/PIXTA伯爵夫人が料理が好きになったのも、ここで過ごしたゆとりある日々の中でした。カジュアルなアフタヌーンティーもヴァカンスの日課の一つ。
以前この連載でもご紹介したスコーンのレシピは、夏の間にお母さまから伝授されたもの。
「焼きたてのスコーンにいちごジャムを塗り、その上に名物の真っ白いクロッテッドクリームをふんだんにつけてほお張った」という思い出の味です。 海風と太陽で育った牧草を食んだ牛達の、甘い牛乳をもとに作られたクロテッドクリームは、なめらかな自然の結晶なのです。
クロテッドクリームといちごジャムを添えたスコーン&紅茶のセット、「クリーム・ティー」。コーンウォール、お隣のデヴォン州で昔から親しまれてきた。