幼少期の夏を家族で過ごした屋敷は、今では妹たちが受け継いでいます。コーンウォールゆかりの小説家ダフネ・デュ・モーリアの代表作『レベッカ』に登場するマンダレイほど広大でないにしろ、そこは、子供心が豊かに育まれた、ちょっとした「城」でした。
夏になると降り注ぐ太陽の光の接吻で、そばかす顔になったお転婆娘の長女フィオーナが、やがて伯爵家に嫁ぎ、本物の「城」に住むことになるとは……。いったい誰が想像したでしょうか。
ヴァカンスが終わってハイクレアに帰ると犬たちが大歓迎。●フィオーナ・カナーヴォン伯爵夫人/ロンドン生まれ。6人姉妹の長女。 セント・アンドリューズ大学で英語とドイツ語を専攻、ロンドンで国際会計士として働く。1999年カナーヴォン伯爵と結婚。一人息子エドワードの母。ハイクレアのガイドブックをはじめハイクレア絡みの数々の著書をしたため、歴史家として知られる。趣味は乗馬、読書。オフィシャル・サイトは
https://www.ladycarnarvon.com/●ハイクレア城に暮らす/ドラマ『ダウントン・アビー』で一躍脚光を浴びた英国ハイクレア城。その城に今も住む第8代カナーヴォン伯爵家の人びとのライフスタイルを、英国フリーライター山形優子フットマンが取材。貴族の暮らしに息づく英国文化をご紹介します。
(今までの連載はこちら) 山形優子フットマン/Yuko Yamagata-footman
フリーライター
上智大学文学部社会学科卒業。カルフォルニア州立大学心理学科でヒューマニスティック・サイコロジーを専攻、修士課程修了(ロータリー財団奨学生)。新聞記者を経てフリーライターに。在英約30年。イギリス人男性と結婚、3人の娘の母。著書に『憧れのイングリッシュガーデンの暮らし』(エディシォンドゥパリ)、『なんでもアリの国イギリス なんでもダメの国ニッポン』(講談社文庫)他。