軽井沢では規則正しい生活に
別荘内には時計が見当たらず、その理由を聞いてみると、「ここでは時間を気にしたくないと思い、思いきって時計を置かないことにしました。そうすると、自然が教えてくれるサインに気づけるようになったんです。日が昇ること、日が暮れること、そんな当たり前のことをきちんと感じていると、自然と規則正しい生活を送れますね」と教えてくれました。
そして軽井沢での生活は、IKKOさんをフラットな状態に戻してくれるものでもあるそう。
「ここでは音楽などもあまりかけませんね。外から聞こえてくる自然の音を聴いているだけで、肩の力がふっと抜けて、やすらぎを感じますし、眠るときも本当にスムーズ。さわやかで涼しい空気の中、寝苦しさも全くなくて、熟睡できます。そんな生活をしていると、体が求めてくるのがおいしい食事! 軽井沢では新鮮で滋味に富んだお野菜が豊富に揃うので、料理をするのも楽しいですね。そんな風に何日か過ごしていくうちに、だんだんとフラットな自分に戻れた気がします」
軽井沢でのきもの暮らし
軽井沢に持っていくきものはどのように選んでいるのかIKKOさんに聞いてみると、「最近、別荘で着るお気に入りは、綿薩摩や結城紬などのカジュアル系のものですね。ここは自然豊かな場所なので、少しぐらい汚れたって、それが味になると思うようなものを選んで持ってきています。時々、親しい友人を招いてホームパーティをすることもあるのですが、そういう時は、更紗などを着ることが多いですね」と教えてくれました。
写真は、別荘内を流れる小川の橋の上、市松取りの綿薩摩に、軍配と俵の柄のアンティーク帯を合わせたシックな装いのIKKOさん。さまざまな場面できものを着ているIKKOさんだからこその、軽井沢でのきものライフに脱帽です。
最後に――
「とっても素敵な場所があるのよ!」と、IKKOさんが私たちをお気に入りの場所まで連れて行ってくれました。
見渡す限り緑のその場所は、IKKOさんとっておきの秘密の場所で、まるで少女のように無邪気に楽しそうにされていたのですが、撮影が始まった瞬間、すっと端正な佇まいへスイッチ。女優のオーラに圧倒されたのでした。
そして撮影終了後、私たち取材班の姿が見えなくなるまで手を振って見送ってくれたIKKOさん。どんな場面でも、最初から最後までこまやかな気遣いを見せてくれたその姿に、背筋を伸ばしつつも満たされた心で帰路に着いたのでした。
IKKOさんの「軽井沢きもの暮らし」は、2018年8月20日(月)発売予定の『きものSalon 2018-19秋冬号』にて詳しくご紹介! 今回掲載していない装いの数々も掲載されますので、ぜひそちらもご覧くださいね。
撮影/宮崎貢司 へア/佐竹智一郎 メイク/高場佑子 着付け/伊藤和子 構成・取材/中島敦子