歯を失うことは、全身の老化が進行している重大なサイン
「歯周病で歯を失うことは、全身の老化が進行している目安にもなります。歯や口の健康にも関心を持ち、口腔ケアに本格的に取り組みましょう」と斎藤先生は促します。
そのカギは歯磨きなど毎日のセルフケアに加え、歯科医院で定期的にPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を受けること。
歯周病の予防には、自分では取り除けない歯周ポケットの歯垢や歯石を除去してもらうことが欠かせません。30年後も“病気知らず”で過ごすことを目指して50代の今が口腔ケアの始めどきです。
歯を失うと認知症にもなりやすい?
認知症の高齢者と健康な高齢者の残存歯数の比較
※出典/『厚生科学研究による口腔と全身の健康との関係Ⅱ』公益財団法人8020推進財団 発行認知症の高齢者と健康な高齢者の残っている歯の本数を比較したところ、認知症の高齢者のほうが少ないことがわかった。
さらに脳の萎縮との関係を調べると、残存歯数が少ないほど脳の萎縮が進んでおり、アルツハイマー型認知症の高齢者では健康な高齢者に比べて平均で15パーセントほど脳が萎縮していた。
斎藤一郎先生
2002年より現職。08年から4年間、鶴見大学歯学部附属病院病院長を務める。専門は口腔乾燥症(ドライマウス)。アンチエイジングの観点から新たな歯科医療を展開。日本抗加齢医学会理事。
撮影/Fumito Shibasaki〈donna〉(静物) 田中 雅 スタイリング/高橋尚美(静物) 取材・文/渡辺千鶴
「家庭画報」2018年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。