琵琶湖の恵みを生かしたオリジナリティあふれるフランス料理 琵琶湖といえば「鮒ずし」。 歴史のロマンに思いをはせたり、就航の歌を口ずさんだり、万城目学さんの小説を思い浮かべたり(私のことです)する方も多いでしょうが、ここはやっぱり滋賀が誇る郷土料理を忘れてはいけません。 なれずしの元祖ともされる鮒ずしは、古くは平安時代の文献にまで残るという歴史ある料理。「発酵」の力を凝縮したようなこの逸品が、何とフランス料理のオードブルとなってディナータイムに登場します。 オードブルは2種。酸味がやや強めの3年物の飯漬け鮒ずしは、フロマージュブラン、貴腐ワインのジュレと合わせて。 和洋の「乳酸発酵」食材が美しく融合する一皿です。飯漬け後さらに1年酒粕に漬けた“ 甘露漬け”鮒ずしは、その甘い風味を生かすべく、フォアグラとマリアージュ。 スペシャリテのオードブル「フロマージュブラン 貴腐ワインのジュレ 鮒鮓のアルモ二―」(手前)、「4年漬け鮒鮓とフォアグラのテリーヌ 清見オレンジとナッツ」。鮒鮓は400年の歴史を誇る「総本家喜多品老舗」の逸品。
おすすめのワインペアリングをお願いすれば、前者には地元・滋賀の大吟醸、後者にはフランス・ロワール地方の白ワインが供され、また新たなる発酵ワールドが展開されます。 私たちの食事の中に、いかに「発酵」の力が活躍していることか。サロンに設けられた食後酒のコーナーでスコッチやバーボンを傾けながら、想いをはせるのは「発酵」の神秘、そしてその神秘を日々の暮らしに上手に取り入れてきた先人の技。静かな夜にふさわしいひとときです。 「ビワマスのマリネ 卵黄味噌漬け 山菜のベニエ」をアミューズに。ほどよく脂ののったビワマスは琵琶湖八珍のひとつ。
もちろんメインは「近江牛ロースト」。近江牛は、熟成肉・赤身肉を得意とする地元の専門店から入手しています。山椒の風味も軽やか。