女性ホルモンの影響を受け、更年期以降は唾液量が減る
一方で、唾液腺は女性ホルモンの影響を強く受けるため、更年期以降は唾液の分泌量が減ってきます。「なかでも女性ホルモンの量がガクンと減ると、ドライマウスを引き起こすことが多いです」と斎藤先生。
また、唾液腺の働きは自律神経に支配されているため、ストレスも要注意。ストレスの影響を受け、交感神経が優位になると唾液は出なくなります。
「口の中がネバネバする、舌が痛い、唇が荒れる、口臭がきつい、話しづらいといった症状はドライマウスのサインであることが多いので、早めに専門外来を受診し、唾液の状態を検査してもらうのがよいでしょう」と斎藤先生はアドバイスしています。
ドライマウス(唾液が減る)になると、体にこんなダメージが起こる
1.細菌が侵入し感染症にかかりやすくなる2.消化吸収能力が低下する3.食べ物の味がわからなくなる4.口臭がひどくなる5.口の不快感が強くなるシェーグレン症候群などの病気や高血圧薬などの薬剤がドライマウスの原因になることもある。加齢の影響はそれほど大きくないといわれる。
ストレスをため込まず、唾液の分泌を促すケアに取り組むことが全身の健康と若さを保つことにつながる。
斎藤一郎先生
2002年より現職。08年から4年間、鶴見大学歯学部附属病院病院長を務める。専門は口腔乾燥症(ドライマウス)。アンチエイジングの観点から新たな歯科医療を展開。日本抗加齢医学会理事。
撮影/Fumito Shibasaki〈donna〉(静物) 田中 雅 スタイリング/高橋尚美(静物) 取材・文/渡辺千鶴
「家庭画報」2018年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。