竹工芸作家・松本破風氏の竹花入。どこか現代的なシャープさを感じさせる作風が気に入っている。Tips4
涼やかなシダ2本で掛け花を楽しむ
掛け花は、古くから日本人に愛されてきた技法の一つです。
たとえ花を置くスペースがなくても、柱や壁さえあれば飾れるので、実はマンションなどの限られたスペースで花を楽しむのに最適。
多美保さんはリビングダイニングの一面の壁にピクチャレールを付けて、アートとともに掛け花を飾っています。
「凛と清冽な美しさがある竹花入は、どんな花材を入れても絵になります。今日は、シダを2本挿して、
インテリアレッスン34でもご紹介した、帯の額装と共に飾りました。こういった、掛けて楽しむアレンジは、上にぴんと立ち上がる形よりも、下に垂れ下がる植物のほうがいけやすくて風情が出ます」
「青歯朶(あおしだ)」「つりしのぶ」といった夏の季語にもなっているシダ植物で、軽やかで清々しい和の趣を楽しみます。
アレンジの横には、バリで購入したお香立てを置いた。東洋的な天然の香りがふわりと部屋の中に広がり、リラックスした時間へと誘う。Tips5
空間を締めるアクセントには濃い色の花を
「今日は優しい色合いで、アジアンスタイルを表現してみたのですが、エクリュカラーや淡いピンクなどの色だけでは空間全体がぼんやりしてしまうことも。どこか1か所、アクセントとなるような強い色彩を使うことでメリハリをつけるんです」
リビングダイニングの収納棚の一角に飾られているのは、こっくりとしたピンクの胡蝶蘭と太藺(ふとい)を使ったアレンジ。
棚の中の黒を背景に、艶やかな花が浮かび上がる美しさには、ハッとするようなインパクトがあります。
手前のトレースタンドには漆のお盆をのせ、東南アジア製の籠や、インドで見つけた銀細工の筒状文入れ、ミャンマーの銀細工のミニチュア籠などをデコレーション。
エキゾチックで力強いアジアを感じさせる部分を作り、空間の印象を引き締めました。
【連載】インテリアスタイリスト 横瀬多美保の「カジュアル・リュクス」に暮らすテーブルコーディネーターやインテリアスタイリストとして『家庭画報』のページを彩ってきた横瀬多美保さん。あらゆるものに美を見いだし、独自の感性でリュクスな空間を創造し続けてきました。そして今、しっくりくるのは上質でありながらもくつろぎ感のあるスタイル、といいます。“生活の中に、美が息づく”そんな日々の暮らしに豊かさを添える素敵なアイディアを巡ります。
横瀬多美保/Tamiho Yokose
インテリアスタイリスト
東京都生まれ。テーブルコーディネーター、インテリアスタイリスト。テーブルコーディネーターの故クニエダヤスエ氏に師事。女性誌や料理本、百貨店のディスプレイなどのスタイリングに携わる。新旧、和洋を自在に織り交ぜた、モダンでエレガントなコーディネートに定評がある。『家庭画報』とのおつきあいは30年近く。流行や時代の変化をしなやかに受け止めながら、幸福感漂う美しい暮らしを提案し続けている。
2018年4月より、
コミュニティFM「渋谷のラジオ」にて、隔週水曜日12時30分~12時55分『渋谷のテーブル』にゲスト出演中。
『テーブルコーディネートから始まる 美しい暮らしのインテリア365日』 2019年10月2日発売!
『家庭画報』をはじめとする女性誌で活躍する、インテリアスタイリスト・横瀬多美保さん。ご自身の1LDKでの暮らしを1年間にわたり追った『家庭画報.com』の人気連載が、ついに一冊の本になりました。コーディネートの組み立て方、“自分らしい”空間の作り方も初公開! 今すぐ活用できる暮らしのtipsが満載です。