【作り方】
1:まずルー・ブランを作る。鍋にバターを入れて中火にかけ、ある程度バターが溶けたところで火を止め、完全に溶けたら強力粉を一気に加える。熱いとダマになるので、火を止めたままよく混ぜる。
2:弱火にし、木べらで鍋底から全体に絶えずかき混ぜ、焦がさないように炒める(写真上)。最初は団子状になるが、炒めていくと滑らかになり、ツヤが出てくる。木べらで鍋底をかくと跡が残る状態。
3:さらに炒めるとふつふつと泡立ってくるので、さらに火を弱める。黄色がかった色が白っぽくなり、かき混ぜる時の手ごたえが軽くなる。これが粉に火が通った合図。木べらで鍋底をかくと跡が残らずすぐに戻ってくる。これがルー・ブラン。
4:鶏のコンソメを7~8回に分けて加える。最初は50ccほど加え、よく混ぜてひと塊にし、いったん鍋の温度を下げて分離を防ぐ。弱火にし、同様にコンソメを加えてよく混ぜる。
5:鶏のコンソメを半分ほど加えて滑らかになってきたら(写真上)、泡立て器に変え、残りのコンソメを加えてよく混ぜる(写真中)。表面にツヤが出て、とろりとしたらソース・ヴルーテ・ド・ヴォライユの完成。
6:鶏肉は皮、脂、表面の筋を取る。皮はとっておく。繊維の塊の真ん中にある筋も取り、そこから2つに切り分ける(写真上)。表面の皮膜も取る(写真下)。塩0.5gをふり、室温で15分おく。
7:板ゼラチンは氷水につけてふやかす。
8:フライパンまたは広口の鍋にコンソメを入れて中火にかけ、ぬるいところに鶏肉、バターを加え、少し火を強める(写真上)。1分ほどで裏返し、身の厚い部分は煮汁につけてムラなく火を通す(写真下)。火を止め、煮汁の中で鶏肉が室温にもどるまで余熱で火を通す。網をのせたバットにのせ、冷蔵庫で冷やす。
9:煮汁をシノワで漉し、鍋に入れる。ソース・ヴルーテ・ド・ヴォライユ85g、生クリーム、塩0.5gを加えて混ぜる。温まったらふやかしたゼラチンを加えて溶かす。煮汁が熱すぎるとゼラチンが固まらなくなるので注意。50~60℃が適温。
10:鶏肉に9をかける。跡がつくので触らないように片面だけ全体にかけ、冷蔵庫で5~10分、固まるまで冷やす。これを2~3回繰り返し、ツヤを出す。
11:パプリカは輪切りにし、塩少量であえる。鶏の皮はフライパンでプレスしながら弱火で両面を焼く。
12:皿に10、11を盛る。
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