繊細にして可憐。京染和紙をあなたなら、どう使う？

驚くほど手間暇のかかる製作工程

では京染和紙の制作過程をご説明しましょう。型染めは最初ににじみを防止するための下地として豆汁（ごじる※）を紙に塗る。次に型紙を重ねて糊を塗り、乾かしたものに顔料を置いて地染めをして、再度乾かす。最後に優しく顔料を洗い流すと、糊で覆われた柄の部分は顔料に染まらないため、白抜きで浮かび上がるのです。一方の型刷りは、染めと同じ型紙を和紙に重ね、色刷りをします。型刷りは柄の部分にさまざまな色を使えるのが特徴。※ふやかした生の大豆をすり潰し、布に包んで絞り出した液。

作業前の和紙。刷り上がった後、中心でカットし、2枚にします。

型紙1枚は広げた和紙の半分の大きさです。1枚のサイズ（柄の範囲）は約28×36～38cm。

いまでは貴重な手すき和紙も

使用するのは越中の民芸紙と、福井県の職人に特注した楮（こうぞ）100%の手すき和紙。京千代紙が版木を使うのに対し、京染和紙は柿渋を塗った着物用の型紙を使います。作業時間を聞いてみたところ、思いがけない答えが返ってきました。「夏は朝早く、5時か6時～8時くらいまで。梅雨時はもっと作業時間が長く確保できます」と浅井さん。実は京染和紙の作業では、自然乾燥中の糊のひび割れを避けるため、湿度が必要なのです。

こちらは型刷りの様子。浅井さんが顔料をのばして柄をつけています。

刷り上がると、ゆっくり型紙をはがします。緊張する瞬間です。

1枚ずつつり下げて自然乾燥させます。