ハイクレア城に暮らす ドラマ『ダウントン・アビー』で一躍脚光を浴びた英国ハイクレア城。その城に今も住む第8代カナーヴォン伯爵家の人びとのライフスタイルを、英国フリーライター山形優子フットマンが取材。貴族の暮らしに息づく英国文化をご紹介します。水曜更新。
(今までの連載はこちら) Vol.9 伯爵夫妻の菜園と、おいしい夏野菜のレシピ
レンガ塀の内側では夏野菜たちが、採っても採っても追いつかないほどに、ぐんぐんと育っています。まるで夏のエネルギーと競争しているようです。ラナビーンズ、グリーンピース、ズッキーニや、ラズベリーなどのサマー・ベリー類も、たわわです。グリーンハウスの中ではトマトも元気いっぱいになっています。
レディ・フィオーナと伯爵が夫婦揃って始めた菜園。12年前、レディ・フィオーナは伯爵と共に、家庭菜園ならぬ城菜園造りにいそしみました。以前からいる庭師のフィリップが、今は管理を受け継いでくれています。「この5、6年で夫も私も相当忙しくなり、もう庭の管理をする時間がなくなりました」と少々寂しそう。当時、庭師は2人しかいませんでしたが、「今はパートタイマーも含めて25人もいる」そうです。
広大なハイクレア城の庭をフルタイムで管理する4人の庭師たち。左端が筆頭ガーデナーのポール、右端が昔からいるフィリップ。レディ・フィオーナは夏野菜が大好きです。「新鮮な卵と野菜で、健康な食生活を」と言う彼女。ときには、こっそりとフィリップ伯爵が管理する野菜畑に忍び込み、手でもぎとって、そのまま口に運んでしまうことも。「生のグリーンピースはお菓子のように甘い」と笑う彼女、ちょっと、マグレガー爺さんの畑を荒らす、いたずら好きのピーター・ラビットのよう。
畑で採れたグーズベリー。酸味の強いベリーなので、ジャムに。