意外にも、お酒が飲めない。20歳の時に急性アルコール中毒になったことがトラウマになっているのだとか。「最近は甘いカクテルなら少し飲めます。でも似合わないんですよ(笑)」――今回のアルバムは、楽しい曲が多いように感じます。
「不平不満もありますけど、歌でわざわざそんなことを言っても疲れるでしょ? 少なくとも僕は、歌で嬉しい気分になりたい。だから、そういう曲をつくろうと思って。また実際、若い頃より今のほうが、つくっていて楽しいテーマがたくさんあるんですよ。年とともにテーマのメニューが減るどころか、増えていて。昔は年をとることがすごく憂鬱で、特に19歳から20歳になる時は“俺はまだ何にもやってない。なんとかしなきゃ”と焦ったり、もうダメだ!と思って『絶望』という曲をつくったり(笑)。でも今は、見習うべき先輩もたくさんいて、ワクワクしますよ」
――何か転機があったのですか?
「堺正章さんと出会って、クラシックカーに乗るようになったことが大きいですね。堺さんは『ミッレミリア』(国際クラシックカー連盟公認イベント、La Festa Mille Miglia)に出ていらっしゃるので、初めてお会いした時に『ミッレミリアの世界ってどうですか? 車が好きなので興味があるんですけど』と聞いたら、“横山さんもぜひどうぞ。ただし車は自分で買ってください”と申込書を渡されまして。それで、まんまと車を買っちゃって、お陰ですっからかんになりましたよ(笑)」
――いきなり飛び込まれたわけですね!
「はい。堺さんの話を聞いていたら、そこに当事者として参加しないでどうする! という気持ちになって、なんか……やっちゃいましたね(笑)。でも飛び込んで本当によかったです。そこから世界が広がって、楽しいことが始まった。最新の車も好きなんですが、古いものを愛で、慈しむように旧車に乗るということにグッときてしまって。またメンバーの大半が60代、70代の先輩達で、みんなで車を走らせた先のホテルで、夜お酒を飲みながらする話がすごく面白いんです。若者よりも全然やんちゃというか、全く懲りていないというか(笑)。年を重ねることが楽しみになりました」