ハイクレア城に暮らす ドラマ『ダウントン・アビー』で一躍脚光を浴びた英国ハイクレア城。その城に今も住む第8代カナーヴォン伯爵家のライフスタイルを、英国フリーライター山形優子フットマンが取材。貴族の暮らしに息づく英国文化をご紹介します。水曜更新。
(今までの連載はこちら) 撮影/斎藤久美Vol11 伯爵夫人が愛する「ハーブガーデン」
前回、レディ・フィオーナ特製カクテルドリンク「ピムス」をご紹介しましたが、ピムスの仕上げにあしらうミントは城のハーブガーデンから取ってくるのだそうです。 実はこのハーブガーデンは、彼女が手塩にかけたもの。13世紀にハイクレアに庭を作った先人の思いを再現しようとしたものです。
昔日のハーブの用途は「鎮痛、癒し、不眠治療などが目的でしたが、今は、主にお料理用。ラム肉料理にはローズマリー、夏のドリンクやデザートにはミントの彩りが欠かせません。」とレディ・フィオーナ。彼女のお気に入りはローズマリー、「疲れているときに元気をもらたしてくれるの」とも。
料理好きのレディ・フィオーナが作ったハーブガーデン。愛犬も嬉しそう。13世紀にあったハイクレアのハーブガーデンは長方形だったようです。一方レディ・フィオーナは、ボックスツリーでできた4つの三角形の生垣の中に、ローズマリーやミント、ラベンダー、タイム、セージなど、多彩なハーブを植えました。その種類は30種から始めて徐々に増え、今はその倍以上もあるそうです。
ハイクレアの風に各種のハーブがゆれるたび、癒しの抱擁を受けるかのよう。
上4点・フレッシュな美味しさを届けてくれる伯爵夫人のお気に入りのハーブガーデン。撮影/斎藤久美「今、もうひとつ別のガーデン・プロジェクトを始めたの」と、レディ・フィオーナ。「目の不自由な方でも楽しめるセンソリー・ガーデンを作っている」と教えてくださいました。「植えようと思っている植物は、香り高く、手で触れることができ、葉が風に揺れる際に心地よい音を立てるものが主体です」。
バニラやチョコレート、レモンの香りがする花々に囲まれた、新しいガーデンを訪れる日が来ることを、そっと目を閉じて想像せずにはいられません。
レディ・フィオーナは常に新しいガーデン・プロジェクトを練っている。