きものを着てお出かけするときに、バッグにお悩みになったことはありませんか?きもの姿をすっきりと見せてくれる小ぶりなハンドバッグやクラッチだけだと、何かと多くなりがちな身の回りの品が収まりきらないことがあります。
「お茶を習うようになって、お稽古に持っていくバッグには悩むことが多いです。容量がしっかりあって、それでいて重い印象にならないバッグを探していました」と話すのは、料理研究家の岡本啓子さん。
お母さまから譲られたきものや帯を大切に着ながらも、時代が変わって着なくなったものは、ご自身でデザインしてバッグに仕立て替えることもあるそうです。
今回岡本さんと一緒に考えたのは、“数寄屋袋を入れても余裕のある、見た目も軽やかなハンドバッグ”です。
白地に藍の豆絞りが映えるバッグは、きものはもちろん、洋装にも合わせられ、涼やかな雰囲気。同系色のタッセルがアクセント。ストール/銀座紀州備長炭ショップ 掌協力してくださったのは、浴衣で知られる有松・鳴海絞の産地の皆さんです。
細かい丸模様が連なる豆絞りを全面にあしらいました。プリントや型染めによる豆絞りも多い中、有松の豆絞りは、「板締め」と呼ばれる珍しい技法で染められた貴重なものです。
白地に小さな雨粒のように連なる藍色の模様が愛らしく、差し色のグレーと相まってすっきりと軽やかな印象です。
口が広く、数寄屋袋を横にしてそのまま入るほどのゆとりがあるので、物の出し入れも楽に行える。バッグは数寄屋袋がすっぽりと入る大きさながら軽くて持ちやすく、木綿地のふんわりとした柔らかな輪郭がきもの姿に優しく寄り添います。開口部はマグネットで開け閉めしやすく、内側にはファスナー付きのポケットが一つあります。
和のお稽古事に通われているかたにはもちろん、お出かけのサブバッグとしても活躍してくれるすぐれものです。
一緒に考えてくださったかた
岡本啓子(おかもと・けいこ)さん
名古屋でフランス料理教室「ラ・ココット」主宰。ご主人とともに数多くの国々を訪ねる中で日本文化の魅力を再認識し、今では教室の生徒さんを招いてお茶事を行うなど、日本文化を学ぶ機会を積極的に企画する。
写真/吉成大輔