本作をカンヌへと導いた濱口竜介監督は、歩く映画百科事典!?
素晴らしい監督との出会いが役者としての幸せだと常々おっしゃっている東出さんにとって、濱口さんはどんな監督だったのか聞いてみると、「歩く映画百科事典みたいな人なんじゃないかと思います」との答えが。
「国立映画図書館みたいなものがあったとしたら、蔵書ほとんどが頭に入ってるんじゃないかな。映画をすごく学問的にとらえてらっしゃる印象も受けましたし、独特のバランス感覚というのは知性の蓄積から論理づけられた上のものだなという印象もたくさん受けました。学問的に映画を、というのはすごく難しい話で。でも、学問として映画をとらえている文化が長く根づいているフランスのカンヌに招待していただけたというのは、濱口監督の映画に対する知識、造詣の深さ、そういうところがあってのことだなとは思います」
東出さんの言葉にあるように、本作は今年5月に行われた第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されました。東出さんも濱口監督やヒロイン・朝子役の唐田えりかさんとともにカンヌへ。カンヌではどんな景色が見えたのでしょう。
「映画は国境を越えるんだということを肌で感じたのは初めてだったので、感動を覚えました。また、各国の方々からインタビューを受けたときに、国によって感想が違って。それも楽しめました」
海外の方から、本作はジャパニーズ・ホラーかと聞かれて、「愛はある種の狂気」という監督の答えに「言い得て妙だなと思いました」。