【特集】あの最高峰時計はなぜ愛されるのか? 家庭画報.comが最高峰時計ブランドの“愛される理由”を徹底分析。各ブランドから、歴史や性能を楽しめる「入門時計」、私のスタイルにフィットする「定番時計」、いつかは欲しい「夢時計」の3本をご紹介します。
特集TOPはこちら>> 「ブレゲ」とは――
「ブレゲ」は、時計職人のアブラアン-ルイ・ブレゲが、1775年パリのシテ島で創業した時計ブランド。時計を芸術品の域まで昇華させた優美なブレゲの時計は、瞬く間にフランス王室や貴族の心をとらえ、ルイ16世と王妃マリー・アントワネットはブレゲの重要な顧客として名を連ねました。その後にはナポレオン・ボナパルトとその妻ジョゼフィーヌも顧客になり、政治家や軍人、科学者などのエリートたちに「ブレゲ」の時計が広まりました。
1808年から1814年にかけてブレゲの時計を34個所有したナポリ王妃のカロリーヌ・ミュラ。ナポレオンの妹でもある彼女のために、アブラアン-ルイ・ブレゲは1810年に世界初の腕時計を製作。「クイーン・オブ・ネイプルズ」コレクションのインスピレーション源となっています。驚異の技術開発力と洗練されたデザイン
当時のヨーロッパ社会のトップリーダーに愛された「ブレゲ」の魅力は、アブラアン-ルイ・ブレゲの驚異の技術開発力と、エレガントなデザインコード作りにあります。自動巻き、パーペチュアルカレンダー、トゥールビヨンなど現代の時計機構を次々と発明。芸術的な職人技が必要なギョーシェ彫りを文字盤に施したり、今はブレゲ数字、ブレゲ針として知られるデザインを考案するなど美しさにもこだわり、“超一流品”としての時計の価値を高めました。
アブラアン-ルイ・ブレゲの死後は、息子、孫へとメゾンは引き継がれ、1999年にスイスのスウォッチグループの傘下に。「ブレゲ」は今もクォーツは一切作らずに、メンテナンスにより永遠に時を刻み続ける機械式時計作りにプライドを持ち、シリコン素材や磁力をムーブメントに用いるなど、新たなテクノロジーの開発に挑んでいます。
ブランドロゴのモチーフになっているブレゲ針は、1783年に考案されました。針の先端に穴が開き、アップルハンドとも呼ばれています。鮮やかなブルースチールのブレゲ針は、ほとんどのブレゲの時計に採用されています。パリ本店2階にある「ブレゲ・ミュージアム」。アブラアン-ルイ・ブレゲが考案した伝説のタイムピースの数々や創業当時からの顧客台帳が大切に保管されています。住所:6, place Vendôme, 75001 Paris 電話 +33 1 47 03 65 00 営業時間:10時30分~ 18時30分(月曜~土曜日) 表示価格はすべて税別です。 撮影/サトウアサ 取材・文/磯 由利子