「口腔ケア」で健康革命 歯や口腔の健康が全身の健康と密接にかかわっていることがわかってきました。歯周病があると動脈硬化や糖尿病、果ては認知症のリスクまで高まります。一方で、歯周病を治すとこれらの病気は改善していきます。まさに全身の病気は、口腔から始まっているのです。アンチエイジングを見据えた50代からの口腔ケアに今日から取り組みましょう。
前回の記事はこちら>> 集中連載「口腔ケアで健康革命」第6回では、オーラル&マキシロフェイシャルケアクリニック横浜 院長・木津康博先生に、「嚙みしめ」の診断法と治療法を、茗和歯科医院 院長・鴨井初子先生に「歯周病」の検査法と治療法を教えていただきました。
オーラル&マキシロフェイシャルケアクリニック横浜 院長
木津康博先生2008年(医)木津歯科開設。予防歯科、インプラント、口腔外科など高度医療のスペシャリスト。東京歯科大学臨床講師、日本顎顔面インプラント学会指導医ほか。
嚙みしめの大きな要因は、ストレス。頭痛、肩こり、顎関節症も引き起こす
「口腔から始める健康長寿の実現」をテーマに日々さまざまな口腔内トラブルに対応する木津康博先生。精密な検診・確かな疾病予防・最先端の治療を三本柱に、一人一人に合った口腔内健康プログラムを提案・実践しています。
木津先生が、更年期世代に多いと指摘する症状の一つが嚙みしめ。
「歯科的には悪習癖、つまり悪いくせととらえています。ストレスによって脳が疲れ、交感神経が優位になっていると、就寝中や仕事中などに無意識に嚙みしめや歯ぎしりを起こすのです。詰め物が高い、片方の歯が1本抜けているなど口腔内のちょっとした違和感も原因になります」
小さな歯に体重と同じくらいの荷重がかかることの影響は極めて大きく、歯が割れる、歯周炎、口内炎、知覚過敏など口腔内にとどまりません。
開口障害、顎関節症、頭痛、肩こりにも及び、嚙み合わせがずれて体のバランスが崩れ、さまざまな臓器に影響が出る可能性もあるのです。
歯の治療で解決しない場合は衝撃を和らげるマウスピースの着用や、咬筋(下あごを動かす大きな筋肉)にボツリヌストキシンという薬を注射して末梢神経の作用を緩め、嚙む力を弱める咬筋コントロールという最新治療もあります。
「朝起きた瞬間からぐったり疲れていたり、舌や頰の裏に歯の跡がついていたら夜中に強く嚙みしめている証拠。症状がひどく出ないうちにかかりつけ歯科医に相談を。口の中を侮ってはいけません」
最新機器を用いて口腔内にかかわるすべてを徹底的に検査する、オーラルドックを実施中。