役柄によって全く違う顔を見せる。読売演劇大賞の大賞・最優秀男優賞を受賞するなど、演劇界屈指の実力派。 ――登場人物は、郵便局員のイネスと、年の離れた裕福な夫がいたエステルと、ジャーナリストのガルサン。段田さんはガルサン役です。
「はい。イネスは大竹さん、エステルは多部さんという配役です。僕はまだちょっと混乱気味なので、早く“おっ、これは行けそうだぞ”と、思える取っかかりを見つけたいですね」
――今年は年間5本もの舞台に初挑戦されるという段田さん。意図的に“舞台イヤー”にしようと思われたのですか?
「いや、そういうことでもないんです。舞台の予定は、だいたい2年くらい前に決まることが多いんですが、ひとつの舞台の本番が終わったら、次の舞台の稽古が始まって、本番があって……というふうに、スケジュールが上手くハマった結果として、5本になったというだけで(笑)。まあ、もちろん、舞台が嫌いだったら5本も受けてはいないはずなので、舞台が好きだということなんでしょうね。とはいえ、“僕、舞台が大好きで、5本やれて幸せなんです!”という積極的な感じでもないんですが(笑)」
――『喜劇 有頂天一座』『ヘッダ・ガブラー』『夢の裂け目』に出演して、この『出口なし』が4本目の舞台。後には『民衆の敵』も控えていて、大変そうです。
「確かに5本続くと、ほとんど1年中舞台に立ち続けている感じです。でも、舞台をやって、映像の仕事をやって、また舞台をやって……とリズムが変わるよりも楽ですし、この5本の舞台は作風から全部違うので、楽しいです。実は飽きっぽい性格なので(笑)、役柄や共演者やスタッフはもちろん、劇場や制作形態もそれぞれ違っているのは面白いし、ありがたいです」
――段田さんが出演作品を選ぶ際のポイントは何ですか?
「こういう芝居が好きだ、こういうのじゃないとダメだ、というこだわりはあまりなくて、割と受け身です。ただ、“この人達と一緒なら楽しそうだな”と思うかどうかは、大きなポイントです。お客さんのほうも、もちろん台本や作家に惹かれて観に来る方もいらっしゃると思いますが、誰々が出ているから観に行くという方が多いのではないでしょうかね」
――この『出口なし』も、やはり共演者が決め手に?
「そうです。大竹さんと多部さんと一緒に芝居ができたら、面白いだろうなと思ったのが一番の理由です。多部さんとは以前、テレビドラマで共演していて、彼女が出ている舞台を観に行ったこともあるんですが、とてもよかった。大竹さんとは、もう何度も共演しています。あの集中力と、色々な感情を的確に表現して、そこに噓がないところが好きです。台詞のやり取りが楽しくて、なおかつ、大竹さんにお任せすれば何とかしてくれるだろうと思わせてくれる女優さんなので、また共演したくなるんです(笑)」